倒産の可能性が高い旅行会社はどこだ?各社の特性から見る経営安全度。

皆さんこんにちは、旅ねこです。

この記事では旅行会社の経営安全度について、現役旅行会社社員の私なりの視点で解説していきます。

コロナ禍が始まってはや3年、2023年5月からはコロナ禍での緊急融資の金利支払いが始まり、2025年5月からは借りたお金の返済も開始されます。それらを支払う事が出来ない企業は市場から退場を余儀なくされる訳で、今後旅行代金を支払った旅行会社が倒産で旅行に行けなくなる、といった悲惨な状況を避けるための一助になればと思っています。

目次

旅行会社最新決算ニュース

2024年4月

観光庁発表、2月旅行業者取扱額

上位10社の中では東武トップツアーズのみ2019年比100%超えでした。

HISが先月今期の見込みを上方修正していましたが、2019年比の売り上げでは73.2%とかなり悪い数字なんですけど、利益率が大幅にアップしたってことなんでしょうかね~?

JALパックとANA X、JR東海ツアーズはパッケージがダイナミックパッケージに主軸を移しつつある中で、縮小傾向なんで比較対象にならず、KNT-CTホールディングスは不祥事で入札停止処分などで売り上げを大きく落としてますんで、上位10社で比較するなら、JTB・日本旅行・HIS・阪急交通社・東武トップツアーズ・名鉄観光サービスの6社で見るのが分かり易いんですけど、この中ではHISが一番売り上げの回復度合いが低いんですよね。

まあ、2月は旅行業は全体的に閑散期にあたりますので、多少のブレ幅は気にすることも無いんですけどね。

順位には変動が出てきましたね。

HISが3位に返り咲き、KNT-CTは遂に4位に落ち込んできました。ジェイアール東海ツアーズとANA Xも順位が入れ替わっていますが、これは当然の流れです。3月最終で、JALパックが東武トップツアーズに追いついてかわしていくのがほぼ確実なんで、2023年度の旅行業者の売り上げ順位は各社成長より落ち込みの少なさを競っているような感じで幕を閉じようとしていますね。

さて、3月の売上高はかなり注視していかないといけませんので、それが出てくるのを楽しみに待つことにしましょう♪と

2024年3月追記

東武トップツアーズ2023年度末決算情報

東武トップツアーズの12月決算が発表されました。64億4200万円の純利益。これは日本旅行の64%の売り上げに対して77%の純利益ですので、前年より半減したとはいえかなりの好決算です。

予想通りの結果でしたね。後は3月決算のJTBとknt-ctホールディングスの決算を待つばかりですが、JTBが一番儲かってるのは間違いないんで、どれくらいか楽しみに待ちたいと思います。

日本旅行2023年度期末決算情報

ようやく日本旅行の12月決算が発表されました。

結果は、83億9300万円の純利益でした。

予想通りの好決算ですね。自治体からの受託事業が好調だった4社の内の1社ですが、年末に青森での談合疑惑が出たため決算に影響したのかも知れませんが、先ずは大きな影響は無かった様です。

まだ東武トップツアーズが決算発表していませんが、日本旅行と大きな差は出ないだろうと思っています。会社規模が日本旅行の半分程度なんで、少なくて40億円~最大80億円の利益かな?とは予想していますが、もう少し多いかも知れませんね。

先日HISが2024年10月期の決算見込みを100億円程度と上方修正しましたが、蕎麦屋や農業など迷走を続けていましたが、ホテル業がインバウンド効果で好調なのが奏功したとの見方もありますし、ようやく今年は一息つきそうです。

2024年3月

観光庁発表、1月旅行業者取扱額

上位10社の中で2019年比90%超えは無しと、回復基調が怪しくなってきましたね~。

JTBが唯一の80%超え、次点は東武トップツアーズの77.9%でした。kntーCTホールディングスが51.2%とかなり厳しい状況になってきました。

2023年度も残り2ヶ月、JTBが3月決算では相当な利益を出すと予想していますが、未だ12月決算の日本旅行と東武トップツアーズが決算発表を出来ずにいるのが奇怪な事です。

2024年2月

観光庁発表、12月旅行業者取扱額

2019年比で100%超えは上位10社の中では東武トップツアーズのみ。それ以外ではJTBが90%超えとかなり復調してきました。HISは未だ60%台と低調。

kntが2023年度の業績見込みの上方修正を先週発表しましたが売り上げは全然なんで、結局受託事業だけで儲けてる構図は今年も変わらないので、いよいよ2024年度が正念場ってことになりそうです。

役所は年度で物事を考えるんで、12月決算の日本旅行と東武トップツアーズは1~3月分が2024年の決算に有利に働くでしょうから、kntは価格競争になるとじり貧になる可能性が高いかも知れませんね。

2023年はJTBと日本旅行、knt、東武トップツアーズの好調さが目立ちましたが、2024年はこの4社がそのまま絶好調とはいかなさそうな予感がしています。

2024年1月

観光庁発表、11月旅行業者取扱額

上位30社で2019年比100%超えは2社『郵船トラベル』『WILLER』となりました。

50%切りは前月同様4社で顔ぶれも同じでした。

今月は決算発表も無く数値も予測の範囲を超えるものが無くて退屈なんで、4月から11月までの上位10社の取扱高合計を表にして売上順位を見てみましょう。

ようやく旅行需要が戻ってきたこともあり、1位のJTB、2位日本旅行、3位KNT、4位にやっとHISが返り咲いてきて、5位阪急、6位東武トップ、6位JALパックとなりました。

HISと阪急、それにJALパックの回復が顕著ですね~。只、2019年比では東武トップ以外はマイナスがほぼ確実なんで、各社決算を見ないと2023年度の業績ははっきりしなさそうです。

※HISは10月決算で既に赤字確定です。

どうやら業界7位までと郵船とWILLERの9社とそれ以下で業績がはっきり差が出てきているので、今後の旅行業界はこの上位7社がしばらくは固定されてこの業界を牽引していくことになりそうです。

残り4か月でどう順位が変動していくのか、気になるところですね~。

2023年12月

観光庁発表、10月旅行業者取扱額

上位30社の2019年比で100%超えは3社『郵船トラベル』『WILLER』『東武トップツアーズ』(伸び率順)でした。もうすっかり常連の3社ですね。

反対に50%切りは4社、『旅工房』『ANA X』『沖縄ツーリスト』『JR東日本びゅう』(下げ率順)。

『読売旅行』と『農協観光』も、ギリ50%超えなんでかなり厳しい状況が続いています。

沖縄ツーリストは親会社ってあるんでしたっけ?他の会社みたいに有力なグループ企業の支援無しにどうやって営業を続けてるのか不思議ですが、行政の支援があるんでしょうかねぇ?

店舗をたたむ予定のJR東日本びゅうは別にして、その他業績低迷企業はグループ会社がどこまで支援してくれるのか気になるところです。

間もなく今月の目玉、HISの年間決算が出てくるので、出た時点で追記して行こうと思います。

12月15日追記

HISの決算発表が出ました。

純利益は26億1800万円の赤字でした。20億円程度かなと予想してたんで、まあ当たらずも遠からずってとこでした。

経常利益時点では14億4600万円の黒字だったのが好材料ですね。

メインバンクからの支援を得るには再び上昇気流に乗れるかが重要ですので、いよいよ次の期が重要な意味を持ってくることになりますね。都道府県割や自治体のコロナ関連の業務、雇用調整助成金など休業関連の支援金などがほぼ無くなる2024年度は、本業の稼ぐ力が復活するかどうかを見られることになります。

いよいよ本業だけで勝負する中で、優勝劣敗がはっきりしていくことになるでしょうから、ここで一定数の企業が脱落していくことになりそうです。

同業他社でもかなりの退職者が出ている状況の中、本業の稼ぐ力は多くの企業で削り取られていると肌で感じていますので、2024年は大手と言えど楽な一年にはならなさそうです。

※青森県の談合について新たな情報が出てきませんが、この結果によっては存続の危ぶまれる企業もありそうです。

2023年11月

観光庁発表、9月旅行業者取扱額

HISがようやく2019年比で70%を超えてきました。KNT-CTホールディングスは逆に70%切りで、自治体案件が入札停止などになった影響が出てきている模様。東武トップは相変わらず絶好調。

何度も言っていますが、今年は売り上げが2019年比に届かなくても、自治体案件を受注しているところは好調な決算を迎える予定で、大型倒産は無い予想。来年こそが正念場ですが、先ずは10月決算のHISの決算がどうなるかが気になるところでしょうか。

2023年10月

観光庁発表、8月旅行業者取扱額

上位10社では唯一東武トップツアーズだけが2019年比で100%超えと、寂しい状況に。

海外旅行がまだまだ戻って来てないところへ、リベンジ需要も遂に息切れしてたのか、各社振るわない結果となりました。

KNT-CTホールディングスは不祥事の結果か一段と振るわない業績でしたが、2023年度はそれでも黒字で行くでしょうから、今のうちになんとか企業の団体旅行で安売り受注して受注実績を作り、来季の足掛かりにしたい様子が見られます。

元々8月は団体より個人旅行がメインの時期ですので、海外旅行のパッケージが強みだった航空系をはじめとする企業ほど2019年比で落ち込みが激しい様です。東武・名鉄・JR東海ツアーズ・日本旅行の順に良かったのは、まさに海外旅行より国内旅行がメインの企業ですからね。

今年の勝ち組は東武トップツアーズを筆頭に、JTB、日本旅行あたりかなと見ていますが、安売りでJTBや同業他社から大型団体をもぎ取って言ってるHISと近畿日本ツーリスト(KTN-CT)の来季の動向が一番気になるところです。

そう云えば名鉄観光サービスが雇用調整助成金の不正受給が発覚して報道されてましたが、業績への影響を見ていきたいのですが、この企業は殆ど情報開示が無いもんで・・。

中堅・中小では農協観光と読売旅行が既に死に体ですが、この2社の生き死には親会社次第ですのでこの際無視しておきます。

いよいよ2023年も終盤に差し掛かり、旅行会社の存続の分岐点になりそうな2024年へ向けて重要な次年度団体の受注時期に差し掛かりつつありますので、引き続き団体旅行の営業である旅ねこの視点で各社の状況を注視していこうと思います。

2023年9月

9月29日追記:東武トップツアーズの第2四半期累計概況が出ました。前年とほぼ同額ですので、倍増している日本旅行が今年は東武トップツアーズに並ぶ利益を確保しそうですね。日本旅行の方が企業規模が倍なんで、先ずは面目躍如といったところでしょうか。

2023年7月の旅行業者取扱額が発表されました。

観光庁発表、7月旅行業者取扱額

今回は大手・準大手はあまりぱっとしない売上でした。

その中ではJTBと日本旅行が健闘した方ですね。社員数が減ってるだけに、この売り上げなら一人あたりは悪くないなって感じですね。そういう点では東武トップツアーズが7月は思わしくなかったんですけど、元々個人旅行のカウンターを持ってない団体一本鎗の会社なんで、JTBや日本旅行が2019年の6月と7月で売り上げ殆ど変わらないのに対して、7月の比重が非常に低いんで、ちょっと海外の売り上げが下がっただけで大きく対2019年比落ちちゃうんで、さほど問題では無いんでしょう。

後は、不祥事で大きく業績を落とし始めたknt-CTホールディングス、第3四半期業績発表で56億円強の赤字のHISが、自己資本比率が9.4%と遂に10%を割り込んだことが注目点でしょうか。

この2社は最近JTB始め競合他社の大口顧客を狙って、かなりの安値で奪い取っていったりしてますが、利益が殆ど無い状態で受注する意味は、売り上げを確保する事で将来性を誇示して金融機関やグループ企業の支援を引き出したり、買収してくれる企業が出てくるのを待つ場合に多く見られる手法ですんで、今後の動きを注視していく必要がありそうです。

ま、年内に大型倒産が起こることは無いと以前から旅ねこ予想では何度かお伝えしてますが、来年以降はこんな感じできな臭さが匂ってきましたね。

2023年8月

2023年6月の旅行業者取扱額が発表されました。

観光庁発表、6月旅行業者取扱額

大手・準大手では東武トップツアーズが断トツの業績でした。それ以外ではコロナ禍でHISと並んで最悪状態だった阪急交通社が、ようやく業績回復しつつあるのかなってところでしょうか。

HISとKNT-CTホールディングスはまだ2019年比で70%に届かず苦戦してますね。いずれもグループ会社で不祥事があって企業イメージが良くないので、ある意味この程度で済んでるのは消費者が無頓着故なのかも知れませんが・・。

JR東海ツアーズもかなり回復してる様に見えますが、京都駅でもJR東海の窓口業務を一部肩代わりしてるようなカウンターの流れになってて、東海ツアーズ自体の店舗は閉鎖が目立ってますんで、2019年と同様の業務内容でここまで回復してるのかは不明ですね。

後は、JALパックのインバウンドの伸びが異常なんで、これが継続するようなら今後海外需要が戻ってくればかなり有望な分野になってANA系より売り上げが伸びてく可能性を感じました。

さて、いよいよ旅行業界を取り巻く環境はアウトバウンド(海外旅行)以外は2019年と同様に戻ってきましたので、各社のこの売り上げが今年の決算を占う指標になりそうですね。

2023年7月

2023年5月の旅行業者取扱額が発表されました。

観光庁発表、5月旅行業者取扱額

高速バスのウィラーグループだけが、2019年比で100%越えをマークしました。遂に5月8日の新型コロナ5類引き下げ後、コロナ前の水準に戻りつつありますね。7日までの1週間が2類でしたので、5月の22%が本調子で無かったことを踏まえると、90%超えならコロナ禍前とほぼ同水準といっていいのではないでしょうか。

後、JTBはじめ大手は25%~35%くらい希望退職を募って人を減らしていますので、売り上げが74.8%のJTBは既に実質2019年越えなのかも知れませんね。

日本旅行がほぼ2019年水準、HIS、近ツー、阪急は未だ完全復調とはいかず、東武、JR東海ツアーズは復調済み、名鉄もかなり復調。

海外はまだ回復してませんが、全国旅行支援があってその分は穴埋め出来てるんで、海外比率が高かったJTBとHIS、阪急以外は、次の6月はもう新型コロナを言い訳にすることは難しいでしょう。

近ツーは又しても静岡で逮捕者が出てるんで、会社の存続をかけて信頼を取り戻す必要があるでしょう。HISも未だグループ会社のGo To不正受給のイメージが残っており厳しい環境にありますし、6月の発表あたりで今後の情勢がある程度読めてくるかも知れませんね。

2022年度旅行業者取扱額総計

遂に2022年度の主要旅行業者の取扱額が出ました。

コロナ禍前の2019年度とは変動してますが、2023年度はこれが2019年度同様に戻っていくかというと、そうはいかなさそうです。

先ず海外旅行がまだ完全復活するにはマインドも便数もコロナ禍前には戻ってない点。そして、コロナ禍で縮小した企業が売り上げを元に戻せない一方、うまく業態転換した企業は人員削減していないんでそこらへんで若干の変動が継続しそうです。只、2023年度は倒産・廃業はまだそれほど増えないと予測していますので、2024年度に予測される激震は走らないんじゃないでしょうかね。

2022年度主要旅行業者取扱額総計

2019年度に3位に付けていたHISは6位に後退しました。一方で8位だった東武トップツアーズが4位に。これは前身の東急観光時代以来で、多分私の記憶では29年ぶりくらいのことでしょうか。そして、農協観光が16位、びゅうが21位、読売旅行が17位と後退してますね。

びゅうは別として、農協観光や読売旅行は衰退が激しく、KNTーCTとHISは企業イメージの悪化、阪急は海外需要の戻り次第って事で、やはり先行き不透明な企業が幾つも見受けられますし、JTBや日本旅行も人員削減でどの程度2019年の売り上げに近づけられるか未知数です。東武、名鉄あたりが堅実なんですが、これといった斬新さは感じられないのでコロナ禍収束とともに業績も収束しそうな気がします。

まあ、今のところ東武、日本旅行が12月決算という事で、1月~5月上旬までのコロナ特需の売り上げが2023年決算に好影響を残せるでしょうから、この2社が売上・利益共に落ち込みがそこまで激しくならない2社になると予測しています。後はJTBがやはり自治体に強いので底力を見せて、売り上げは2019年比で落ち込んでも利益は結構出しそうです。

最後に2023年度の各社業績旅ねこ予想

JTB売上・利益共に断トツ1位HIS売上は4位まで戻せるかな。黒字化は・・。
KNT-CT売上低調でもぎり黒字で切り抜けそう阪急5位キープ。利益は見えません・・。
日本旅行絶好調♪目指せ2位の座!東武トップ順位は落とすも今年も好業績。

私の予想はざっと、こんな感じでしょうか。当たるかな~。

2023年6月

2023年3月決算が5月末に出揃いましたので、遅まきながら見ていきましょう。

JTBグループ

299億5800万円の純利益。決算情報

意外や意外。思った以上の好業績でした。海外比率の高いJTBがここまで利益を出せるとは、正直私も思っていませんでした。日本旅行がハワイ支店を閉鎖して形だけハワイに拠点を置いておくほど経費を削減したのに比べて、JTBは経費削減を極限までは行ってなかっただけに意外でしたね。それだけ自治体からの受託業務が儲かったってことでしょう。

海外主体のHISや阪急交通社との差は歴然としましたので、海外では独り勝ちが続きそうですね。

KNT-CTホールディングス

117億9千万円の純利益。決算情報。

自治体の受託業務の過大請求は今期決算にとっては軽微なものなのが分かっていましたので、特に驚きはありませんが、社員の削減比率が一番高かったのと、自治体からの入札停止処分はかなり響きますので、2024年3月決算は一応黒字見込みですが際どい状況でしょう。又、2025年に関しては更に幸先暗く、お先真っ暗な状態ですね。

2024年の見通し

兎にも角にも2023年の決算は全て出揃った訳で、自治体の受託業務もコロナ関連は5月8日を以てほぼ終了しましたので、ここからが旅行業の正念場となります。

借りたお金を返せる当てが無さそうだと判断された時、どれだけの旅行会社が倒産するかは2024年末(2024年度末)の決算次第ですので、この1年は稼げることを示さなければならない重要な1年になる旅行会社が数多くあります。

大倒産時代到来の足音がヒタヒタと聞こえる中、先ずは6月と9月の中間決算がそれぞれ翌々月に出てきますので、それを注視していきたいと思います。

稼いだポイントをマイルへ!陸マイラー御用達モッピー

6月17日追記

旅行業者取扱額4月分が観光庁より発表されました。

観光庁発表、旅行業者取扱額

2019年比で50%以下の企業は、店じまいを始めているJR東日本のびゅうを除いて業態転換し損ねた企業が大半ですね。5月からは5類移行で改善されるでしょうが、ここまでのマイナスを解消するのは相当難しいでしょう。5月以降の発表で2019年比110%超えを連発すれば別ですが、果たして何社そんな企業があるのやら・・。

逆に2019年比80%越えの企業は絶好調で2023年は好決算が見込まれる企業です。

インバウンドもリベンジ消費で活発化してますんで、7月の全国旅行支援終了後上手くインバウンドを取り込んだところが台風の目になるかも知れませんね。

2023年5月

2023年3月の旅行業者取扱額が発表されました。

観光庁発表、旅行業者取扱額

年度末なんで、役所も締めの月になりますし、JTBやKNT-CTホールディングスも決算月だけに一気に2019年比で1.5倍前後となりましたね。

日本旅行は伸びず、東武トップツアーズは驚異の270%増と変わらず絶好調。HISと阪急も苦しい状況は変わらずですが、若干改善の兆しが。

売り上げと利益の伸びが東武トップ以外は全くリンクして無いのが特徴的ですね~。

農協観光と旅工房は、もはや回復出来るのかってくらい、どん底状態💧

今週末から来週あたりにはJTBの決算が出ますんで、これで旅行業界の未来の勢力図がある程度見えてくるんじゃないかな、と思ってますけど、どうでしょう・・。決算発表出れば、展望も含めてここに追記していこうと思います。

2023年4月

2023年2月の旅行業者取扱額が発表されました。

観光庁発表、旅行業者取扱額

2019年比で100%越えは東武トップツアーズのみ。ウィラートラベルが90%越えでほぼ平常に戻ってきたようです。

ま、大幅黒字だった日本旅行が70%越えなんで、売り上げから利益が見えてこないのが2022年度の特徴なんで、決算発表見てみないと何とも言えないとこですが。

一番気になるJTBと近畿日本ツーリストが3月決算なんで、5月に入らないと発表出て来ないんでもうちょっと待つしか無いですね。

今月はそんなとこかな(・_・)

2023年3月

やっと出てきた。東武トップツアーズの決算が。

遅れに遅れてた東武トップツアーズの12月決算がやっとホームページに出ました。

取扱い1581億1200万円、当期純利益112億7100万円也。

会社規模が2倍の大手日本旅行と比較すると、売り上げが81%であるのに対して、利益は138%と、圧倒的優良企業になりました。

個人旅行向け店舗が東京と埼玉に僅かにあっただけなのがコロナ禍に幸いした上に、法人営業部門がそのまま自治体への営業に振り向けられたのが、個人一辺倒の大手各社との大きな差となりました。

決算発表が遅れに遅れたのは、恐らくパソナが枚方市などでやらかした件が影響して、受注自治体からの報告を求められての勤務実態の洗い出しでの修正などで時間が掛かったからでしょうか。

全国割なんかでも大手が補助対象外の不適切需給分を弁済したりと、何かと準備不足のドタバタ劇のツケが出てますし、悪意が無くても再チェックすれば不備は何かしら見つかるでしょうからね。

3月中旬時点の考察

旅ねこ

2023年1月の各社売上が出たけど・・。

観光庁発表 旅行業者取扱額

2019年比で売上高80%を超えたのは3社だけ・・。

そして、2022年12月決算が出た日本旅行は絶好調♪

取扱い1819億1400万円、81億1千万円もの純利益が出てますね。

もう1社、東武トップツアーズも12月決算なんで、実は両社が出揃ってから記事を書こうと思ってたんですが、未だ東武は発表無し。しかし1月も売上好調なんで経営自体には問題無さそうです。3月に入ってから何かしら修正が必要な事態が出たんでしょうかね。

今月で決算の企業はかなり多いんで、GW明けには各社決算数値が出てくる事でしょう。暫くはそれ待ちでしょうかね~。

2023年2月

ども、2ヶ月ぶりです。12月の各社売上が出ましたね。

観光庁発表 旅行業者取扱額

2019年比で売り上げが100%を超えたのは2社だけでした。

4月から12月までの取扱合計額を見てみましょう。

黄色塗と青塗、赤塗が順位争いが混とんとしてきましたね。3月の決算を経て、業界順位がどうなるか目が離せません。

旅ねことしては、近ツーの学校関連で保護者や先生が嫌がる仕事を肩代わりするビジネスモデルが今後成功するか、この辺が気になるところではありますかね。

そう云えば、年末のボーナスは上記トップ10企業の半数以上が出たようですが、労働組合があるのかも分からない企業もあるんで、その辺はちゃんと出たんでしょうかね?

2022年12月

遂に注目のHISの2022年10月期決算が発表されましたね。

結果は95億4700万円の赤字です。

2021年10月期の500億円を超える赤字と比べればかなり改善した様に見えますが、赤字は赤字。そしてこれはハウステンボスの売却益によってもたらされた結果ですので、2023年10月期決算ではいよいよ黒字が必須となってくるでしょう。

純資産が566億3600万円残っているのは心強いですが、手元に残っているのは売れるかどうか分からないラグーナテンボスなど小粒なものしかありませんから、海外旅行やインバウンドが2023年も完全回復せずに低調な推移を見せれば赤字が2023年も続くことになり、非常にまずい状況になってくる可能性がありますね。

私は2023年はまだ旅行会社の倒産件数は爆発的に増えることは無いと見ていますが、2024年には相当数の旅行会社が大手~小規模事業者までまんべん無く破綻するんじゃないかと感じているのが正直なところです。

コロナ禍での融資の利払いや元本返済もそのあたりからは本格化しますが、コロナ禍前の業況になった場合でも、店舗や社員数を25%~35%くらい削減した企業は当然売上高もそれに応じて元の売上高までは戻る訳はありませんから、利益額も減少します。そうなると借りたお金を返せる金額を稼げなくなってしまうのは必然ですよね。

因みに、直近の黒字だった年では最大手JTBの2022年3月期の利益が284億6100万円(本社売却益が寄与)。近畿日本ツーリストの2019年3月期利益は12億7900万円。日本旅行2019年12月期利益16億2400万円。

利益率が爆発的に上がればともかく普通に考えれば社員数の削減比率に合わせて利益も減少すると見て、後は借金(利子含む)の返済額が見えて来ればその企業の先行きが見えてくるのかなと思います。

JTBは黒字化さえ目途がつけば反転攻勢が見えてきましたので、広告宣伝費なども削らず踏ん張っていますが、それ以外の企業はやはりハワイなど海外旗艦支店の閉鎖等相当な血を流しているのが目に留まりますね。

2023年は黒字を継続できる体制を如何に見せられるかが企業存続の試金石になってくる重要な一年を迎えることになります。

企業ごとに経営環境は違ってきますが、親会社やグループ会社、メインバンクの支援なしには相当数の旅行会社が市場からの退場を余儀なくされることになりますので、各社がしのぎを削る2023年に備えるこの年末となりそうです。

2022年11月

9月10月の旅行業者取扱額が発表されました。

東武トップツアーズの好調ぶりが目立つ2ヶ月でしたが、12月にはHISの10月決算発表が控えており、旅ねこ的にはそちらも気になっています。

9月時点で東武は業界順位を5位に上げていましたが、これで阪急交通社(HE)を抜き去りバブル期以来の業界4位の座を確保しました。まあ、まだ2022年度終わっちゃいないんで、抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り返すことになるんでしょうけど。

と言うのも、自治体の受託業務は延々と続いてるんで、各社業績が回復している場合は決算時期に合わせてそこで区切って売り上げを立てることになる筈なんで、12月や3月にドカッと売り上げが上がってくる企業もあるんじゃないかと思っています。

反対に絶好調の業績であれば、決算時期を越えてから売り上げを立てて、翌年の売り上げに回すことも大いにあり得ますんで、2022年度の業界順位はかなりイレギュラーなものになりそうです。

という訳で、2022年の旅行会社の売り上げ順位は1位:JTB、2位近畿日本ツーリスト、3位日本旅行までは変わらなさそうですが、4位以下は混とんとしそうな予感がしています。

そして、売り上げと企業の業績は別物ということも申し上げておきましょう。

2022年9月

2022年の1月~6月までの上位10社の売上高を見てみましょう。

私が各月の売上高を見て足していったんで、もし数値が間違っていればスミマセン。

まだ年半ばですが、コロナ禍前までの順位と大きく変動しているのは、8位まで落としたHIS、そして5位まで上がってきた東武トップツアーズです。

理由として考えられるのは、以下になります。

HIS

⓵海外がメインの業態で最もコロナの影響を受けている。

⓶カウンターで個人相手の業態のため、待ちの姿勢が基本で、自治体のコロナのサポートセンターなどの受託業務を取りに行くにも法人営業部門が脆弱で、殆ど受注出来ていない。

⓷元々JATA(日本旅行業協会)から脱退しており、コロナ禍で慌てて出戻ったものの業界団体から情報を得る態勢が出来ていなかった。同業他社とのお付き合いが無かったんで、当然急に戻ってこられても自分たちが苦しい中助けてくれるところは無いでしょうからね。

東武トップツアーズ

⓵個人旅行向けの店舗が東武沿線に僅かにあっただけで、元々団体営業が主体だったため、需要の無くなった法人営業部隊をすぐに企業から国や自治体へ振り向けられた。

⓶会社の売り上げに占める修学旅行の割合が、大手・準大手・中堅の旅行会社の中で最も大きいため、コロナ禍1年目こそ修学旅行も実施できず打撃を受けたものの、2年目以降は法人需要が戻らない中、修学旅行実施が再開されたため、①個人②法人団体③修学旅行④インバウンド⑤自治体受託業務とある中で、③⑤を柱をとする事が出来た。

※自衛隊のワクチン大規模接種事業で、東京の入札にはJTBや近畿日本ツーリスト、日本旅行といった大手しか声が掛かっておらず出遅れたものの、その受託事業を察知するや、次の大阪の入札には間に合わせて受注出来た事がその後の展開に大きく影響している様ですね。

「大手は政府与党から優遇されている」といった声が聞かれる中、常に需要を探し求めてアンテナを張っておけば挽回のチャンスを掴めるといういい例かと。

業界5位は東武トラベルとの合併時はおろか、東急グループからの身売り前、前身の東急観光時代にまで遡ります。

大手~中堅の旅行会社は、2年連続債務超過の中堅1社は分かりませんが、それを除けばおおよそ2023年末までは資金ショートの可能性は少ないので、暫くは今後の展望が開けているかどうかでその後の助け舟が出るかどうかが決まって来るでしょう。

え、助け舟が無ければどうなるって?借りたお金の利払い額と、2019年の各社の利益額を見て頂ければ想像はつくと思います。このコロナ禍で社員を2割~4割ほど削減している企業は、何か別の高収益事業を見出せなければ、当然2019年の利益額から同じ割合以上に利益が減ることは必然です。

さて、2022年も後半に入ってきましたが、この後旅行業界はどういった展開になっていくのか、予断を許しませんね。

2022年8月

HISのハウステンボス売却のニュースが出ていて、正式決定後に取り上げようかなと思ってましたが、先ずは現時点でのマスコミの推測価格で一度取り上げることにしました。

900億円程度の売却額と云われていますが、もしそうであったならHISも一息つけるんじゃないかなと思います。他の大手準大手とは比べ物にならないほど2019年比で売り上げが落ち込んだままで、相当キャッシュが失われている可能性がありましたので、これで手元資金を捻出出来れば当面の運転資金は確保できますからね。

只、ハウステンボスを売っちゃうと、後は小粒なラグーナテンボスくらいしか売れそうなものが無いので、後は無いのが実情です。本業の旅行業が来年どこまで復活できるかが焦点になってきますが、ここまで守勢に立たされてきたJTBは攻勢に出るでしょうし、コロナ関連の自治体受託事業の受注ではJTBとHISでは雲泥の差がありますので、今年は見た目の売り上げ回復度以上に利益で大きな差が出ることになるのはな違いありません。

6月の旅行業者取扱額(観光庁発表資料)

この表から見ると分かりますが、売上高上位10社中断トツ1位の落ち込みぶりです。しかも、法人や自治体営業の組織が脆弱なため、利益率も間違いなく一番低いハズなんで相当厳しい状況に立たされているのは想像に難くありませんしね。

純粋に旅行業の売り上げが回復してきているのはJR東海ツアーズ、そして阪急交通社の2社でしょう。この2社も団体営業部門は殆ど無いに等しい企業ですが、2019年度比売り上げがここまで戻せているのはいい傾向だと思います。

海外旅行への道は見えてきたので、後は実際にどのタイミングで2019年比で80%以上に戻るかが焦点になりそうですが、大手・準大手は年内に破綻する可能性は無いと見て良さそうですね。

2022年7月

名鉄観光サービスの決算が6月下旬になって、ようやくしれっと出てきましたね。

2022年6月23日発表、名鉄観光サービス決算公告

営業利益は3億1700万円の赤字なんですが、何故か純利益は1億5千万円の黒字。相変わらず意味不明な会社です。結局、親会社の名古屋鉄道次第ってことでしょうか?社員の平均年齢45歳以上、売上高に比べて992名(2022年2月時点)と社員数が多すぎと、昔と比べても勢いを完全に失ってるんで、最近では全く話題に上らない様になりましたね。

名鉄観光サービス会社概要

2022年5月

阪急交通社グループ決算

2019年度決算発表リリース(阪急交通社グループ) (hankyu-travel.com)

57億4800万円の営業赤字としか出てません。阪急交通社グループは名鉄観光サービス同様、上場して無い上親会社の電鉄が隠れ蓑になっててよく分からないんですよね。まあ、HIS同様状況はかなり悪いってことぐらいでしょうか。只、阪急電鉄が親会社なんで、グループから売却されない限りは倒産の危険性は無いと思われます。

JTB決算

JTB2022年3月期決算概要

遅れていた発表が5月下旬、ようやく出てきましたが、284億6100万円の黒字でした。

他を圧倒する利益額を叩き出しましたね。もはや啞然としか言いようがありません・・。

観光庁旅行業者取扱額

2021年度の旅行業者取扱額も出ており、2019年度比で44%と、約半分まで売り上げを戻す結果となりました。

ひと言でいえば自治体のコロナ関連の仕事を相当受注しているってことです。そして、利益率は旅行よりも段違いに高いんで、この様な結果になった訳です。

まあ、特需なんで2022年いっぱいは続きますが、来年度以降は本来の旅行業で勝負しないといけないんで、借金を今のうちにいかにして返済できるかが生き残りのカギになります。

とは言え、先ずはJTBの底力を見せつけられた結果になったのは間違いありませんね。

尚、純資産は2021年度決算期より616億9400万円増えて、1092億2千万円となりました。只、営業損失は一気に95%も減ったとは云え、未だ赤字で48億8千万円の赤字なのが先行き不透明な点ですね。2022年度はまだコロナ特需が続くんで大丈夫ですが、2023年度は本業の旅行のみで勝負する事になるでしょうから、そのあたりが大手旅行会社の命運を分ける時期に来るんでしょう。

近畿日本ツーリスト決算

遂に2022年3月決算が出始めました!最大手JTBの発表が遅れましたが、近畿日本ツーリスト(KNT-CTホールディングス)の決算発表が出ましたので先ずはこちらから。

KNT-CTホールディングス2022年3月期決算短信

純利益57億7100万円の赤字です。当初は100億円を超える赤字を出すんじゃないかと思われていましたが、後半かなり挽回しましたね。只、グループと銀行から400億円の支援を受けていますので、純資産243億1500万円と、かなり目減りしています。

旅ねこ

ん?昨日は確か300億円残ってるって見た気が・・。気のせいかな?

まあ、とにもかくにも2023年3月まではほぼ確実に持ちそうですし、何より40億円の黒字を見込んでいますから、先ずは当面経営に問題は無さそうですね。

ここで先行き対する旅ねこの見立てを。

今年度の黒字40億という強気な見立てですが、これは虚勢ではなく実際にそれくらいは確実に儲けが出ると踏んでいる可能性が高いですね。実は大手・準大手の旅行会社はコロナ接種の大規模会場の運営やコロナ相談センターの運営、そしてグリーン認証事業にGo Toイートなど、会議や大会運営のノウハウを活かしてかなり受注しています。

そして、これらの事業が本来の旅行業の倍以上の利益率を誇っているため、売り上げが大幅に落ち込んだままでも利益が倍増しているんです。

2022年いっぱいは、自治体を中心にかなりの事業の発注が見込まれますので、恐らく大会運営の実績やノウハウが殆ど無いHISと阪急交通社を除いたリアル旅行会社の大手・準大手は安定して利益を積み増していくと見込んでいます。

まあ、この辺はよ~分からんけど取り敢えずやってみるかの精神を持ってる一部の旅行会社だけの強みですね。ホントはJALやANAも搭乗券のチェックインシステムを流用するなどしてコロナの大規模接種会場運営は出来たはずなんですが、「俺たち航空会社は飛行機飛ばしてなんぼだからさ」って感じで、最初から取り組む気ゼロでしたからね。

根性論って訳では無いですけど、やったことの無い事に取り組む気のある企業だけが大幅黒字になる2022年になりそうな匂いがぷんぷんしてきてますね。

JTBの決算は私の見立てではほぼ確実に黒字で出てくると思っています。自治体には一番強い老舗企業ですから、入札無しの随意契約で受注している案件が相当ある様ですし、凄まじい利益率と利益額を叩き出して一気に黒字化するんだろうなと。

とは言え、JTBもKNT=CTホールディングスも前年の赤字幅が大きすぎて、昨年後半から今年にかけての一過性のコロナバブルだけでは借金を全額返済は出来ませんから、来年以降が勝負の年になるのは間違いないでしょう。

JTBの決算が出たら、またここに追記して行こうと思いますので、今暫くお待ち頂ければと思います、では(@^^)/

2022年3月

2021年12月期と2022年1月期の売上がでてますが、これを見ると少し各社の状況が見えてきます。

やはり、対前年50%越えは安全圏、JTB、JALパック、東武、名鉄は一旦危機は脱したと見てよさそうです。

反対に対前年40%切りは何をどうすればいいのか上層部が分かってないという状況で、かなりヤバい状況になっていると思っていいでしょう。

東武トップツアーズ2021年決算開示!

遅れに遅れていた東武トップツアーズの2021年12月の決算がようやく出ました!

HISが子会社の不正で決算開示が遅れましたが、それに伴って日本旅行や東武トップツアーズも遅れるのは予想されていましたが、日本旅行より遅れる事約1か月。どんだけ遅いねんって思ってましたが、結果は驚くべき好業績ですね\(◎o◎)/!

東武トップツアーズ2021年12月期決算

当期純利益 63 億 14百万円(前期は当期純損失 30 億 87 百万円)って、スゲー( ゚Д゚)

10倍の規模のJTBでさえ平成29年度3月期決算で52億3千万円の純利益ですから、ここ数年の旅行会社の中でも断トツの利益を叩き出しましたね。

この内容を見ると、やはり旅行以外の収益が寄与しているのが分かります。他の旅行会社との大きな違いは、元々海外売上比率が低かった点と個人向け店舗を殆ど持っていなかった点、そして法人営業に特化していたため、国や自治体に法人営業部隊をすぐさま振り向けたことが要因でしょう。

100億円以上の負債を抱えた大手は、今後借金の返済という重しを抱えて営業していく訳ですが、コロナ前の年間利益を各社見ても、恐らく借金の返済に数十年かかるだろうと思われる企業がかなりの数に上ります。その中で身軽な状態で未来への先行投資を行える事はかなりのアドバンテージになりそうです。業界の負け組かと思われていた東武トップツアーズですが、コロナ禍で一気に大逆転の嵐の目になる可能性があり、今後の動向に目が離せませんね♪

2022年2月

2021年12月決算がそろそろ発表される頃ですが、どうやら各社Go Toの不正確認に追われている様で決算数値の確定が少し遅れそうですね。

と、いう訳で12月決算をただ待っていても退屈なんで、大手・準大手・中堅各社の年末のボーナス状況から各社の経営状況を推測してみます。下記企業について、非公表以外の企業については私の方で何ヶ月或いは何万円まで把握していますが、そこは伏せさせて頂きますね。

企業名ボーナス備考
JTBグループ非公表こっそり出してたとの噂が・・。
近畿日本ツーリストグループ中四国のみ子会社は若干出てる様です
日本旅行グループ非公表実は出てます
阪急交通社出てます夏は見送りでしたね
東武トップツアーズ出てます
名鉄観光サービス出てます夏は見送りでしたね
読売旅行出てます夏は見送りでしたね
京王観光出てます

非公表は世間体を気にして支援の妨げにならない様に引き続き同情を引きたいってことかも知れませんね。

夏冬共に出たのは東武トップツアーズと京王観光のみ。この2社が経営的には安定していると見てよさそうです。まあ、それ以外の出た企業に関しては寸志みたいな金額のとこが大半ですから、出た内に入らないって言うのが実情ですけど。

コロナ禍に於いての優勝劣敗がはっきりと出ていますが、日本旅行は12月の年末決算を黒字決算で乗り切れるとの事ですし、東武トップツアーズは絶好調、そしてJTBは3月決算で黒字化するんじゃないかと私は見ています。

私の勤務地だけの業況ですが、京都府の事業は大手の或る1社が大半を入札無しに随意契約で受注してってますから、相当な利益が出ているようですので、それを考えれば逆転黒字決算もあり得るのかなと思ってます。

観光庁旅行業者取扱額データ12月発表済⇒https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/toriatsukai.html

対前々年比で50%を超えてきたのは、やはり国や自治体の事業を上手く取り込んだ企業が多いですね。

名鉄観光サービスが70%以上と目覚ましい回復ぶりを見せています。続くのは東武トップツアーズ。

旅ねこ

なんか把握しているボーナス額が売上額の増加に見合って無い企業があるな?売り上げ上がっても旅行と公共事業で利益率が全然違うってことなのかな?

さて、年末決算の企業はGo Toの修正が少々入りそうですが今月中には発表があるでしょうし、私の見立てでは業績の良い順に、各OTA(OTAは楽天やリクルートライフスタイルなど本業で儲かってるんで問題無)>東武>日本旅行>JTBと見ています。そしてそれ以外の企業はどこも親会社頼みじゃ無いかなと思ってますんで、親会社が無い企業も含めコロナ禍が続くと今年の後半から来年にかけていよいよクライシスが始まる恐れも出てきます。

先ずは日本旅行と東武の決算が間もなく出てくるのを待ちたいと思いますが、どちらも黒字を確保しそうですしやはり3月決算の企業が気になるところではありますね。

2021年12月

HISの決算発表が12月28日にようやく出ました。500億5千万円の純損失でした。これは10月見込みからは若干改善していますが、やはり純資産が半減して500億円を割り込むことになりましたので、厳しい状況に変わりありませんね。

純資産がJTBとほぼ並びかけているんじゃないかと思われますので、今年初頭には余裕があったのが大手各社と差が無くなったと思えばいいでしょう。

日本旅行は年末差し迫った時点で黒字を確保して、ボーナス無しから一転ボーナス支給を決めましたので、大手・準大手はHISと近畿日本ツーリスト、阪急の3社を除いてようやく光が見え始めたんじゃないでしょうか。

只、これらの企業はどこもワクチンの大規模接種や広域接種会場運営、Go To Eat事業などを受注して利益を出していますので、中堅以下の旅行会社の様に旅行以外の事業にどうやって取り組めばいいか皆目見当が付かない大半の旅行会社とはもはや立ち位置が違ってきていますので、大半の旅行会社は経営危機が増す一方と云っていいでしょう。

年が明けて、1月~3月の平日の閑散期にGo Toトラベルが始まればまだいいのですが、それが無いと3月以降の救済措置が縮小していくにしたがって、倒産が増えていくことになりそうですが、果たして・・。

2021年11月

JTBの中間決算が発表され、67億円の黒字となりました。只、これは本社ビルの売却益(311億円)などによる一時的なもので、本業の儲けは331億円の赤字と未だ業績回復は見通せないのが実情です。とは言え、本社ビルを売却しても赤字を拡大しているHISと比較すると幾分ましな状況ではありますね。

近畿日本ツーリスト(KNT-CTホールディングス)の中間決算は68億円の赤字と赤字幅は縮小していますが業績回復はやはり見通せない状況に変わりはありません。赤字幅の縮小傾向により、2022年12月頃まではなんとかやって行けそうですが、それまでに収益を上げられる態勢を整えられるかがカギになりそうです。

12月にはHISの決算が確定するでしょうから気になるところではあります。

2021年10月

HISの2021年10月期の決算見込みが530億円の赤字と発表がありました。これは私が予想していたよりも悪く、純資産(984億円)の半分以上を食い尽くす状況になります。

大手・準大手がコロナワクチン事業や自治体の認証事業などを受注して赤字額を減らしたり黒字転換している中で、HISに関しては法人営業部門が脆弱な上、今まで同業他社との関りを断ち切ってきていたことがあだとなって、殆ど孤立している事が原因と見ています。

これからどのタイミングでどれくらい程度旅行需要が戻ってくるか分かりませんが、現状多くの旅行会社が2022年後半には資産が底をつく可能性があります。2021年決算が赤字の企業に関しては、赤字額と純資産の残額をよく把握しておく必要があるでしょう。

2021年10月時点大手・準大手旅行会社の最新経営状況と見通し

皆さんこんにちは、旅ねこです。

コロナの感染状況が急速に収束して、10月に入ってからは一気に旅行マインドが回復しつつありますね。

現時点で一度主な旅行会社の経営状況について現場で旅行業に携わる私なりの見解を整理してみようと思います。

各企業決算数値等

旅行会社決算期2019年度売上(億円)2019年度決算(億円)2020年度決算(億円)最新決算時純資産(億円)
JTB3月15,77116-1,051475
近畿日本ツ-リスト3月4,59212-284-96 ※1.
日本旅行12月4,24916-127101
HIS10月4,302122-250984
阪急交通社3月3,356-6,400万円-5451
東武トップツアーズ12月1,2252-3037
名鉄観光サービス3月8735,500万円-40
農協観光3月579-16-51-29 ※2.

※1. 400億円を近鉄及び主力銀行より調達し、債務超過は一旦解消。

※2. 農協グループの支援を受け、40億円を借入で資金調達し債務超過は一旦解消。

2019年度決算は全社赤字でしたので、いかにコロナの影響が大きかったかよく分かりますね。

では、上から順にいきましょう。☆☆☆=当面自力で生き抜ける。☆☆=1年半以上は持ちこたえられる。☆=グループの助力を得ており、1年は持ちこたえられる。★=グループ会社の意向次第。尚、数値的な見解は専門家の方が詳しく分析していますので、これは飽くまで私の個人的な見方になりますのでご了承下さい。

JTB ☆☆

好材料:国や自治体に食い込んでいるため、現在は自治体が行っているコロナワクチンの広域接種や飲食店のコロナ対策のチェックを行う認証業務などをかなり受注しており、赤字幅は縮小する見込み。純資産もまだあり、少なくとも1年半は持ちこたえられる体力はある。

不安材料:社員数を25%削減し、給与も大幅カットしたため、元の売り上げには戻せないことは確実。OTAとの戦いには遅れをとっている。海外に強く、海外旅行の解禁が遅れれば業績の回復も思う様に進まないでしょう。

近畿日本ツーリスト ☆

好材料:現在は自治体が行っているコロナワクチンの広域接種や飲食店のコロナ対策のチェックを行う認証業務などをそこそこ受注しており、赤字幅は縮小する見込み。

不安材料:4月から6月までの第一四半期だけで64億円の赤字で、調達資金の1/4を早くも食いつぶす結果に。社員数も30%以上減らしており、元の売り上げには戻せないことは確実。OTAとの戦いには土俵にすら乗れていないので、今後の成長が今のままでは見込めない。又、債務超過を解消したものの、借金は当然返さないといけない利子負担できるほど収益を出すには今の社員数と利益率では難しそう。

日本旅行 ☆☆☆

好材料:現在は自治体が行っているコロナワクチンの広域接種や飲食店のコロナ対策のチェックを行う認証業務などをそこそこ受注しており、赤字幅は縮小する見込み。 純資産もまだあり、2021年6月期の半期決算では赤字だったものの赤字額はマイナス6億円とかなり赤字は縮小している。

不安材料:人員3割、店舗数も大幅削減しており、売り上げは2019年度に戻ることは無い。ネットには弱く、提携相手のじゃらんも海外OTAやヤフートラベル、楽天トラベルに対し劣勢なので伸びしろが見えない。

HIS ☆

好材料:2019年にユニゾホテルにTOBを仕掛けて失敗したことで値が吊り上がった株を逆に高値で売却できたことなどで資産が膨らんでいたことが結果奏功した。純資産がまだかなりあるのが救い。

不安材料:海外旅行が主力事業のため、まだ当分業況の回復が見込めない。又、大手他社と違い営業部門が脆弱で、国や自治体の業務を殆ど受注できていないため、第3四半期(2021年7月時点)でも-332億円の赤字と、他社と比べても赤字幅が突出して大きい。これがまだ当分続くと考えるとJTBの2倍あった純資産も2021年10月決算期ではほぼ同等額まで目減りする可能性がある。

阪急交通社 ☆

好材料:阪急阪神ホールディングスグループで支えてもらっているため、現状大きなリストラ等聞こえてはきていない。

不安材料:新聞での募集型企画旅行が主力事業のため、自治体業務などが大手の中ではHIS同様殆ど受注できていないため、業況の落ち込みは最も激しい。2019年度決算から赤字と、コロナに関わらず業況が厳しい事がうかがえる。元々海外比率が高い。

東武トップツアーズ ☆☆☆

好材料:団体旅行が主力の業態のため、2021年度も新入社員募集を行った数少ない旅行会社で、人員削減による今後の売り上げの落ち込みは無い。主力事業の修学旅行は個人旅行ほどの落ち込みでは無いため、秋に向けて業績の上積みが期待される。国や自治体の委託業務も、団体営業部門が企業から国・自治体へターゲット変更して堅調に受注しているため、好業績のOTAに次いで業績好調で、既に6月の半期決算で黒字転換を果たしている。

不安材料:海外とネット関連の個人旅行部門が弱く、今回のコロナ禍ではそれが怪我の功名となったが、いずれ市況が回復するので、それまでにネット販売網を構築できるかが長期的視点で業績を伸ばしていけるかの分かれ目になる。

名鉄観光サービス ☆又は★

名古屋鉄道の子会社で、総資産しか見当たらず、純資産が見当たらなかったため、業績が完全に把握できず評価が出来ませんでした。

農協観光★

好材料:農協グループに属している事くらいですかね~。

不安材料:3年連続赤字で、コロナ禍で遂に債務超過になって借り入れで一旦は債務超過を解消しましたが、先行きは不安です。農協グループの支援次第でしょう。

その他(JALパック・ANAX、JR東海ツアーズ)?

いずれも親会社次第です。

今後の見通し

市況の回復時期によってどの企業が生き残るか、又再度成長軌道に乗せられるかが変わってきます。第6波が12月に来て緊急事態宣言が再発令されれば個人旅行に強い大手は大打撃ですし、これまでの旅行自粛ムードが3月まで続くといよいよ大手の倒産が現実味を帯びてきます。

海外旅行の解禁が後1年続けば、海外売上比率が高い企業はいよいよしんどくなりますね。

記事を読んでくださった方には、これを参考に各社の旅行券やポイントを持っている場合、来年3月以降に持ち越すかの判断材料にして頂ければと思います♫

今は丁度Yahoo!トラベルでお得なキャンペーン&セールがスタートしてます! ▼誰でも最大10%お得になるキャンペーンポイントのいまスグ利用で最大5%OFFで宿泊予約が可能!開催期間:2022年8月31日(水)正午~開始予定。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

一匹旅で各地を転々とする旅ねこです。
勤めネコですが、仕事を含め国内、海外を問わずグルメや温泉をとことん満喫し、旅の出会いを楽しんでいます。若かりし頃情熱を燃やしたアイスホッケーを今も愛しており、アメリカ・カナダに行った際には必ずNHLを観戦しています。
I am travel cat . I am a cat who loves delicious food and hot springs.
I still love passionate ice hockey when I was young, and I always watch NHL when I go to the United States and Canada.

コメント

コメント一覧 (6件)

  • 業界研究をしており、たどりつきました。
    各社の分析が大変参考になりました。ありがとうございます。

    • お役に立てれば幸いです。製造業や飲食業と違って、旅行業は中小企業が独自性を持つのが難しいため起業は簡単ではありませんが、秘境専門の旅行会社や仏教や特定宗教のルーツを訪ねるツアーなどを専門に扱っている会社もありますので、何か強みを持った会社を目指されると良いのではないかと思います。

  • 旅行関係の業務に携わるシャンパンゴールドと申します。
    非常に興味深く読ませていただきました。
    いわゆる大手(じっと立ってるバカ等)は、コロナバブル。Jではない大手の傘の下でぼちぼち働いているものですが、先日、某M鉄さんと話す機会があり、私が「旅行そのものは、なにひとつ良くなってない」と話すと、M鉄さん「儲かってるんだよね」と。
    まさに、この記事にある通りで、自治体の子会社になってしまっているということです。
    コロナバブルですよ。決して、旅行で儲かっている訳ではないですが。
    ただ、バブルはいずれ弾けるもの。
    補助金ありきで考えていては、いずれオワコン。
    辛坊治郎氏が「旅行会社(多分J社)がピークの売上を誇っている時、結構、高飛車でしたよ。(笑)やっぱり、因果は巡るっていうこともありますんで、あんまり人間偉そうにしてちゃいけないなって思います」と。
    まさに、大手といわれる某じっと立ってるBと接して、業界最大手だからと上から目線で物言いされたこと、思い出します。勿論、すべてではないですが。
    最後は「人」なのかな、と思ったりします。
    これからも、業界考察楽しみにしております。

    • シャンパンゴールドさん、初めまして。
      仰る通り、来年以降は自治体案件は急速にしぼんじゃいますから、今のうちに本業のお客さんをケアしておかないと大変なことになりますね。海外がまだ来年は一気に戻らないんで、海外主体のところは苦しい状況が続きそうですが、やはり公の仕事は大切だなと感じた今回のコロナ禍でもありました。個人・法人偏った一本足打法のところはどこも倒産寸前の憂き目にあってるのを見てますんで、アンテナは高く広角に張っておくのが重要ですね。そして、云われるように最後は「人」ですね、ホント。私の会社も人をお願いする際にどこに声を掛けるかと云えば、最大手さん一辺倒でお願いしても部屋やバス、席を出してくれないところより、やっぱり常日頃お付き合いさせて頂いて助けて頂いてるところの方になりますしね。
      まあ、何とか今年を乗り切って楽しいお仕事が戻ってくることを信じて頑張りましょう♪

  • トラベルスタンダードジャパンで9月に海外旅行考えてますが、決算見ると2020/12 -420.000千円 2021/12 -40.000千円と赤字が続いており、
    どうしようか悩んでます。
    何か情報ご存知でしょうか?

    • さむさん、初めまして。
      お尋ねのトラベルスタンダードジャパンについてですが、残念ながら社名を聞いた覚えがあるくらいでよく存じ上げない企業なんです。
      社名を聞いて覚えがあったのが不思議だったんでググってみましたが、こちらの記事で社名が出てたので知ってたくらいでしょうか。https://www.tjnet.co.jp/2022/02/14/%e6%97%85%e5%b7%a5%e6%88%bf%e3%82%82goto%e4%b8%8d%e6%ad%a3%e5%8f%97%e7%b5%a6%e7%96%91%e3%81%84%e3%80%806%e5%84%84%e5%86%86%e8%a6%8f%e6%a8%a1%e3%81%ae%e8%a6%8b%e9%80%9a%e3%81%97%e3%80%80jhat%e9%96%a2/
      大手や準大手あたりは経営状況が分かる指標やニュース、実際に同業他社との関りの中である程度分かるんですが、こちらの企業に関しては申し訳ありませんが知ってることが殆ど無いんです。
      正直、今は大手から中小までかなりの旅行会社が厳しい経営状況になっているのは間違いありませんので、お金を借りられる企業が生き残るってことくらいしか確実な事は言えない状況です。
      赤字であってもそれまでに蓄えた現預金や不動産があって無借金、別の業界からこの旅行業へ進出していて本業が好調な企業だったりした場合も問題無いんで、一概には言えませんが、企業としての将来性が信用力になるので、安心を求めるのであれば大手か準大手の黒字決算企業を選ばれた方がより安心ではありますが・・。
      あまり良いアドバイスが出来ませんで申し訳ありません。

旅行業はじめてみようかな へ返信する コメントをキャンセル

CAPTCHA


目次