
皆さんこんにちは、旅ねこです。
この記事では旅行会社の経営安全度について、現役旅行会社社員の私なりの視点で解説していきます。
コロナ禍からはや4年、2023年5月からはコロナ禍での緊急融資の金利支払いが始まり、2025年5月からは借りたお金の返済も開始されます。それらを支払う事が出来ない企業は市場から退場を余儀なくされる訳で、今後旅行代金を支払った旅行会社が倒産で旅行に行けなくなる、といった悲惨な状況を避けるための一助になればと思っています。

旅行会社最新決算ニュース
2025年3月
※3月17日追記
観光庁発表、1月旅行業者取扱額
今回の発表で、結構惨憺たる旅行業界の現状が見えてきた気がします。
大手を中心に、コロナ禍で人員削減を行ってきた旅行業界ですので、2019年比で75%程度までは仕方ないかなと思うんですけど、対2019年比70%を切ってる企業がここまで多いのは衝撃的でしたね。
重要なのは売上より利益なんですが、売り上げがないと当然利益も出しようが無いですからね。
売上高が2019年比でずっと70%を切り続けると、会社規模を劇的に縮小しないと倒れちゃう可能性が高いと思いますので、大手でもそろそろヤバい雰囲気が出て来そうですね。
2月28日、日本旅行2024年12月期決算が発表されました。
22億円也。
前年の83億9300万円の約1/4ですね。
まあ、コロナに関わる受託事業が2024年3月末でほぼ終了しているんでこんなもんでしょう。
インバウンドへの言及が最初にありましたが、はっきり言って大手と言えどもインバウンドによる売り上げや利益への貢献度は僅かですので、先行きは暗いと思います。
2024年は公正取引に関する不適切事象で足を引っ張られた部分はありますが、コロナ禍後の団体旅行需要の減少を万博効果でどこまで打ち消せるかが2025年の勝負の分かれ所になりそうです。
東武トップツアーズも12月決算ですが、公正取引に関する不適切事象の影響は分社化していない分、全国で自治体入札に参加出来ていないでしょうから更に厳しいものとなるとなるだろうと予測しています。
※この記事も継続してきてかなりの分量になりましたので、古い記事を一部削除させて頂きました。
2024年12月
観光庁発表、10月旅行業者取扱額
遂に2019年の状態にほぼ戻ってきた企業が複数見られるようになってきました。
東武トップツアーズが2019年比で113.8%と大きく超え、阪急交通社が98.4%とほぼ元通り。
日本旅行と名鉄観光サービスも90%超えです。
KNT-CTやHISは80%を切ってて、僅かに残った自治体案件の利益で今年までは何とかなるかも知れませんが、かなりじり貧です。
HISが12月13日に決算発表予定だったんですが、子会社の不正疑惑のため延期となってますが、影響は軽微でしょう。只、コロナ禍以降不正が発覚してきたHISグループとKNT=CTホールディングスは、2025年度以降はかなり厳しい業績になると予想しています。
10月の売上は2024年度の状況を表している様に思いますが、今後各企業の決算が出てくるのを楽しみに待ちたいと思います。
2024年10月
10月30日追記
当期純利益9億94百万円(前期比45億70百万円減)と、昨年までとは打って変わって他社同様低い利益水準ですね。
他社と比べると2019年比での売り上げ減は少ないんですが、これにはからくりがあります。
JTB始め大手はコロナ禍で社員数を大きく減らしましたが、東武だけは逆に社員を増やしてるんですよね。
ですので、他社より売り上げ減が少なくて好調、って見えるものの、実際には増やした社員が大して売り上げに貢献してなくて、人材にならず人手でしか無かった可能性があるってことです。
多くの企業が2019年比で売り上げを落としたままですが、一見好調に見える企業も下手をすると後半失速して第2四半期の利益を食っちゃって、年末決算で利益を落としてくる可能性もあるかなってのが、旅ねこの見立てです。
さて、12月には日本旅行と東武トップツアーズの決算がありますので、2月にはこの見立てが正しかったかが判明する事になるでしょう。
先ずは様子を見てみよう、ではありませんか。
追記までの記事
観光庁発表、8月旅行業者取扱額
全体的に2019年比で見ると良くないですね。東武>阪急>名鉄・・・くらいまでが、2019年比で80%を超えてて、まだいい方でしょうか(上位10社)。
只、利益はどこも2022年と2023年の良かった方の年と比べると落ち込む様な話が聞こえてますので、これからの年末・年度末決算は緩やかな下降線を辿りそうですね。※受託事業が殆ど受注できていなかったHISと阪急を除く。
しかし、ジャルパックとANA Xはこれからどうするんでしょうね?売り上げが半減してて、もはや役割を終えた感がありありなんですが、JR系の旅行会社が続々と店じまいを発表してる中、だらだらと存続させていくのか展望が見えないままになってますね。
鉄道系・航空系・農業系・新聞系、といった親会社ありきの経営は既に破綻してるとしか思えませんが、どこも親会社が親方日の丸的な旧体質の企業ばかりで、まともな判断力が無いのかなと思ってしまいます。
旅行業で食べてる他の旅行会社の邪魔にしかなってないなら、この辺で営業活動を終了させた方が業界全体の健全化に繋がるので、そろそろ自社(グループ)の仕事が過半数を占めていたり、親会社の席や部屋などの商品販売が販売商品の過半数を占めれば旅行業免許をはく奪する、といった法規制を作っては如何なものかと考えてしまいます。
2024年9月
9月14日追記
観光庁発表、7月旅行業者取扱額
ここまでと少し違った状況になって来てますので、一つ一つ見ていきましょう。
HISとkntが失速。
上位10社では独り勝ちだった東武トップツアーズが若干失速。
ジャルパックとANA Xが役割を終えたのかというレベルの縮小傾向がはっきりしてきました。元々親会社の航空会社のためだけに存在していたので、超縮小均衡となるのか。
農協観光、読売旅行はすさまじい縮み方ですが、グループ企業の仕事があるため廃業も自社の判断で出来ないんでしょうね。なんか先の無い状況で見てて寂しくなってきます💧
沖縄ツーリスト・・。よく生き残ってるな・・、って感じです。
中間決算概要

KNT-CTホールディングスの第1四半期決算短信と、日本旅行の2024年度中間決算が発表されたので、見てみましょう。
17億7千7百万円の純利益。昨年よりは少ないですが、これはかなりの好業績です。
7億9百万円の純利益。昨年より大幅減ですが、黒字ですね。
結局、問題起こした企業がそれに見合った罰則受けないんで、やったもん勝ちっていうのが今の日本の問題点な気がしますね・・。
2社とも自治体の受託業務が殆ど無くなったんでかなり利益が減ってますが、旅行業の利益がそもそも低すぎるんでこれでも割といい方だと思います。世の中の値上げ容認ムードに乗った値上げと、利益率の低い仕事を切り捨てていったのが奏功していますが、次の手を早く打てる企業が成長していくことになるでしょう。
2024年6月
観光庁発表、4月旅行業者取扱額
2024年度の旅行業界を占う最初の月の取扱額が発表されましたが、上位10社を見る限りかなり低調な滑り出しとなりました。
2019年度比で90%を超える企業が1社もないんですよ。ホテルなどを抱えるHISは今年度の決算予想で110億円の純利益を予想してますが、これはインバウンド効果でしょうから、日本の旅行業全体はなかり深刻な状況です。
只、宿泊施設の好調ぶりもここに来て地域差がはっきり出てきてリベンジ需要は終了してきてます。
データを見ても北海道と四国がかなり客室利用率が落ち込んでますね。
自治体の受託事業も底を尽きかけてますし、旅行事業以外に活路を見出そうとしている大手や準大手なども、この分野に先に進出している他業種の企業に中々競り勝てない様です。
借金を背負っている企業の多くが、今年から来年にかけてが勝負の年になりますので、5月~11月の売上でおおよその結果が見えてくるでしょう。
観光庁発表、2023年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計。



ありゃ?どっかで売上高修正があったみたいで、売上高と順位変わっちゃってる。
売上高順位が5月時点で私が集計したものから、3位がKNT-CTホールディングス、4位がHIS。6位が東武トップツアーズ、7位がJALパック。8位名鉄観光サービス、10位ANA Xと、入れ替わってますね。
下位企業では農協観光と読売旅行、沖縄ツーリストが2019年度比50%台~30%台と瀕死の状態で、どうなるか注視していくことになりそうです。
2024年5月
JTBグループ
純利益183億1,600万円。決算情報
前年に比べると落ち込んでいますね。まあこれはkntや東武トップツアーズも同様です(日本旅行だけは前年よりも利益が若干上がっていますが)ので、自治体の受託事業が減ってきているということでしょう。
これで2023年度の大手・準大手の決算は出揃いましたが、いよいよ受託事業とリベンジ需要も終わりを告げる2024年度が始まりました。
今年度の決算情報こそが、今後の旅行業界の行く末を占う大きな指標になりそうですので、私もこの一年を注視していきたいと思います。
上位10社で2019年比で増収トップは東武トップツアーズ。続いてJTB、そしてKNT-CTホールディングス。3月決算の2社(JTB・KNT)はここまで引っ張ってきた自治体の受託事業を一気に精算してるんでしょうね。予想通りの対2019年比で大幅売り上げ増です。
10社以外で気になるのは農協観光と読売旅行が2019年比でずっと売上半減状態が続いている点でしょうかね。農協観光は母体の農協も振るわないみたいなんで、事業縮小で何とか営業続けてる状態みたいですが、このまましぼんでいきそうです。読売旅行は母体の読売グループがまだしっかりしてますから、縮小しつつもここで踏みとどまって中堅旅行会社として読売ジャイアンツの優勝ハワイ旅行なんかのグループの旅行や新聞募集の旅行を何とか続けていくんでしょう。
そして、遂に2023年度(2023年4月~2024年3月)の旅行会社売上高が出ました。


3月ぎりぎりでジャルパックが東武トップツアーズを、ジェイアール東海ツアーズが名鉄観光サービスをかわしてそれぞれ6位と9位に滑り込みましたね。
まあ、企業にとっては売上より利益が重要なんですけど、これはこれで一つの指標ですからね。
2024年度はKNTとジェイアール東海ツアーズが更に売り上げを落としていきそうな感じですが、どうなるでしょうか。
さて、2024年度、残るはJTBの決算ですね。
KNT-CTホールディングス
純利益75億4,000万円。決算情報
日本旅行と東武トップツアーズの中間くらいの額ですね。不正問題が尾を引いて、売り上げをガンガン落として業界4位まで落ち込む予想なんで、純利益の額としては悪くないんですが、問題は2025年3月期がどうなるかです。
次は下旬のJTBの決算情報が気になるところです。
2024年4月
上位10社の中では東武トップツアーズのみ2019年比100%超えでした。
HISが先月今期の見込みを上方修正していましたが、2019年比の売り上げでは73.2%とかなり悪い数字なんですけど、利益率が大幅にアップしたってことなんでしょうかね~?
JALパックとANA X、JR東海ツアーズはパッケージがダイナミックパッケージに主軸を移しつつある中で、縮小傾向なんで比較対象にならず、KNT-CTホールディングスは不祥事で入札停止処分などで売り上げを大きく落としてますんで、上位10社で比較するなら、JTB・日本旅行・HIS・阪急交通社・東武トップツアーズ・名鉄観光サービスの6社で見るのが分かり易いんですけど、この中ではHISが一番売り上げの回復度合いが低いんですよね。
まあ、2月は旅行業は全体的に閑散期にあたりますので、多少のブレ幅は気にすることも無いんですけどね。


順位には変動が出てきましたね。
HISが3位に返り咲き、KNT-CTは遂に4位に落ち込んできました。ジェイアール東海ツアーズとANA Xも順位が入れ替わっていますが、これは当然の流れです。3月最終で、JALパックが東武トップツアーズに追いついてかわしていくのがほぼ確実なんで、2023年度の旅行業者の売り上げ順位は各社成長より落ち込みの少なさを競っているような感じで幕を閉じようとしていますね。
さて、3月の売上高はかなり注視していかないといけませんので、それが出てくるのを楽しみに待つことにしましょう♪と
2024年3月追記
東武トップツアーズ2023年度末決算情報
東武トップツアーズの12月決算が発表されました。64億4200万円の純利益。これは売り上げが日本旅行の64%なのに対して純利益は77%ですので、前年より半減したとはいえかなりの好決算です。
予想通りの結果でしたね。後は3月決算のJTBとknt-ctホールディングスの決算を待つばかりですが、JTBが一番儲かってるのは間違いないんで、どれくらいか楽しみに待ちたいと思います。
ようやく日本旅行の12月決算が発表されました。
結果は、83億9300万円の純利益でした。
予想通りの好決算ですね。自治体からの受託事業が好調だった4社の内の1社ですが、年末に青森での談合疑惑が出たため決算に影響したのかも知れませんが、先ずは大きな影響は無かった様です。
まだ東武トップツアーズが決算発表していませんが、日本旅行と大きな差は出ないだろうと思っています。会社規模が日本旅行の半分程度なんで、少なくて40億円~最大80億円の利益かな?とは予想していますが、もう少し多いかも知れませんね。
先日HISが2024年10月期の決算見込みを100億円程度と上方修正しましたが、蕎麦屋や農業など迷走を続けていましたが、ホテル業がインバウンド効果で好調なのが奏功したとの見方もありますし、ようやく今年は一息つきそうです。
2024年2月
HISと阪急、それにJALパックの回復が顕著ですね~。只、2019年比では東武トップ以外はマイナスがほぼ確実なんで、各社決算を見ないと2023年度の業績ははっきりしなさそうです。
※HISは10月決算で既に赤字確定です。
どうやら業界7位までと郵船とWILLERの9社とそれ以下で業績がはっきり差が出てきているので、今後の旅行業界はこの上位7社がしばらくは固定されてこの業界を牽引していくことになりそうです。
残り4か月でどう順位が変動していくのか、気になるところですね~。
2023年12月
上位30社の2019年比で100%超えは3社『郵船トラベル』『WILLER』『東武トップツアーズ』(伸び率順)でした。もうすっかり常連の3社ですね。
反対に50%切りは4社、『旅工房』『ANA X』『沖縄ツーリスト』『JR東日本びゅう』(下げ率順)。
『読売旅行』と『農協観光』も、ギリ50%超えなんでかなり厳しい状況が続いています。
沖縄ツーリストは親会社ってあるんでしたっけ?他の会社みたいに有力なグループ企業の支援無しにどうやって営業を続けてるのか不思議ですが、行政の支援があるんでしょうかねぇ?
店舗をたたむ予定のJR東日本びゅうは別にして、その他業績低迷企業はグループ会社がどこまで支援してくれるのか気になるところです。
間もなく今月の目玉、HISの年間決算が出てくるので、出た時点で追記して行こうと思います。
12月15日追記
HISの決算発表が出ました。
純利益は26億1800万円の赤字でした。20億円程度かなと予想してたんで、まあ当たらずも遠からずってとこでした。
経常利益時点では14億4600万円の黒字だったのが好材料ですね。
メインバンクからの支援を得るには再び上昇気流に乗れるかが重要ですので、いよいよ次の期が重要な意味を持ってくることになりますね。都道府県割や自治体のコロナ関連の業務、雇用調整助成金など休業関連の支援金などがほぼ無くなる2024年度は、本業の稼ぐ力が復活するかどうかを見られることになります。
いよいよ本業だけで勝負する中で、優勝劣敗がはっきりしていくことになるでしょうから、ここで一定数の企業が脱落していくことになりそうです。
同業他社でもかなりの退職者が出ている状況の中、本業の稼ぐ力は多くの企業で削り取られていると肌で感じていますので、2024年は大手と言えど楽な一年にはならなさそうです。
※青森県の談合について新たな情報が出てきませんが、この結果によっては存続の危ぶまれる企業もありそうです。
2023年9月
9月29日追記:東武トップツアーズの第2四半期累計概況が出ました。前年とほぼ同額ですので、倍増している日本旅行が今年は東武トップツアーズに並ぶ利益を確保しそうですね。日本旅行の方が企業規模が倍なんで、先ずは面目躍如といったところでしょうか。
2023年7月の旅行業者取扱額が発表されました。
今回は大手・準大手はあまりぱっとしない売上でした。
その中ではJTBと日本旅行が健闘した方ですね。社員数が減ってるだけに、この売り上げなら一人あたりは悪くないなって感じですね。そういう点では東武トップツアーズが7月は思わしくなかったんですけど、元々個人旅行のカウンターを持ってない団体一本鎗の会社なんで、JTBや日本旅行が2019年の6月と7月で売り上げ殆ど変わらないのに対して、7月の比重が非常に低いんで、ちょっと海外の売り上げが下がっただけで大きく対2019年比落ちちゃうんで、さほど問題では無いんでしょう。
後は、不祥事で大きく業績を落とし始めたknt-CTホールディングス、第3四半期業績発表で56億円強の赤字のHISが、自己資本比率が9.4%と遂に10%を割り込んだことが注目点でしょうか。
この2社は最近JTB始め競合他社の大口顧客を狙って、かなりの安値で奪い取っていったりしてますが、利益が殆ど無い状態で受注する意味は、売り上げを確保する事で将来性を誇示して金融機関やグループ企業の支援を引き出したり、買収してくれる企業が出てくるのを待つ場合に多く見られる手法ですんで、今後の動きを注視していく必要がありそうです。
ま、年内に大型倒産が起こることは無いと以前から旅ねこ予想では何度かお伝えしてますが、来年以降はこんな感じできな臭さが匂ってきましたね。
2023年8月
2023年6月の旅行業者取扱額が発表されました。
大手・準大手では東武トップツアーズが断トツの業績でした。それ以外ではコロナ禍でHISと並んで最悪状態だった阪急交通社が、ようやく業績回復しつつあるのかなってところでしょうか。
HISとKNT-CTホールディングスはまだ2019年比で70%に届かず苦戦してますね。いずれもグループ会社で不祥事があって企業イメージが良くないので、ある意味この程度で済んでるのは消費者が無頓着故なのかも知れませんが・・。
JR東海ツアーズもかなり回復してる様に見えますが、京都駅でもJR東海の窓口業務を一部肩代わりしてるようなカウンターの流れになってて、東海ツアーズ自体の店舗は閉鎖が目立ってますんで、2019年と同様の業務内容でここまで回復してるのかは不明ですね。
後は、JALパックのインバウンドの伸びが異常なんで、これが継続するようなら今後海外需要が戻ってくればかなり有望な分野になってANA系より売り上げが伸びてく可能性を感じました。
さて、いよいよ旅行業界を取り巻く環境はアウトバウンド(海外旅行)以外は2019年と同様に戻ってきましたので、各社のこの売り上げが今年の決算を占う指標になりそうですね。
2023年7月
2023年5月の旅行業者取扱額が発表されました。
高速バスのウィラーグループだけが、2019年比で100%越えをマークしました。遂に5月8日の新型コロナ5類引き下げ後、コロナ前の水準に戻りつつありますね。7日までの1週間が2類でしたので、5月の22%が本調子で無かったことを踏まえると、90%超えならコロナ禍前とほぼ同水準といっていいのではないでしょうか。
後、JTBはじめ大手は25%~35%くらい希望退職を募って人を減らしていますので、売り上げが74.8%のJTBは既に実質2019年越えなのかも知れませんね。
日本旅行がほぼ2019年水準、HIS、近ツー、阪急は未だ完全復調とはいかず、東武、JR東海ツアーズは復調済み、名鉄もかなり復調。
海外はまだ回復してませんが、全国旅行支援があってその分は穴埋め出来てるんで、海外比率が高かったJTBとHIS、阪急以外は、次の6月はもう新型コロナを言い訳にすることは難しいでしょう。
近ツーは又しても静岡で逮捕者が出てるんで、会社の存続をかけて信頼を取り戻す必要があるでしょう。HISも未だグループ会社のGo To不正受給のイメージが残っており厳しい環境にありますし、6月の発表あたりで今後の情勢がある程度読めてくるかも知れませんね。
2022年度旅行業者取扱額総計
遂に2022年度の主要旅行業者の取扱額が出ました。
コロナ禍前の2019年度とは変動してますが、2023年度はこれが2019年度同様に戻っていくかというと、そうはいかなさそうです。
先ず海外旅行がまだ完全復活するにはマインドも便数もコロナ禍前には戻ってない点。そして、コロナ禍で縮小した企業が売り上げを元に戻せない一方、うまく業態転換した企業は人員削減していないんでそこらへんで若干の変動が継続しそうです。只、2023年度は倒産・廃業はまだそれほど増えないと予測していますので、2024年度に予測される激震は走らないんじゃないでしょうかね。
2019年度に3位に付けていたHISは6位に後退しました。一方で8位だった東武トップツアーズが4位に。これは前身の東急観光時代以来で、多分私の記憶では29年ぶりくらいのことでしょうか。そして、農協観光が16位、びゅうが21位、読売旅行が17位と後退してますね。
びゅうは別として、農協観光や読売旅行は衰退が激しく、KNTーCTとHISは企業イメージの悪化、阪急は海外需要の戻り次第って事で、やはり先行き不透明な企業が幾つも見受けられますし、JTBや日本旅行も人員削減でどの程度2019年の売り上げに近づけられるか未知数です。東武、名鉄あたりが堅実なんですが、これといった斬新さは感じられないのでコロナ禍収束とともに業績も収束しそうな気がします。
まあ、今のところ東武、日本旅行が12月決算という事で、1月~5月上旬までのコロナ特需の売り上げが2023年決算に好影響を残せるでしょうから、この2社が売上・利益共に落ち込みがそこまで激しくならない2社になると予測しています。後はJTBがやはり自治体に強いので底力を見せて、売り上げは2019年比で落ち込んでも利益は結構出しそうです。
最後に2023年度の各社業績旅ねこ予想
JTB | 売上・利益共に断トツ1位 | HIS | 売上は4位まで戻せるかな。黒字化は・・。 |
KNT-CT | 売上低調でもぎり黒字で切り抜けそう | 阪急 | 5位キープ。利益は見えません・・。 |
日本旅行 | 絶好調♪目指せ2位の座! | 東武トップ | 順位は落とすも今年も好業績。 |



私の予想はざっと、こんな感じでしょうか。当たるかな~。
2023年6月
2023年3月決算が5月末に出揃いましたので、遅まきながら見ていきましょう。
JTBグループ
299億5800万円の純利益。決算情報。
意外や意外。思った以上の好業績でした。海外比率の高いJTBがここまで利益を出せるとは、正直私も思っていませんでした。日本旅行がハワイ支店を閉鎖して形だけハワイに拠点を置いておくほど経費を削減したのに比べて、JTBは経費削減を極限までは行ってなかっただけに意外でしたね。それだけ自治体からの受託業務が儲かったってことでしょう。
海外主体のHISや阪急交通社との差は歴然としましたので、海外では独り勝ちが続きそうですね。
KNT-CTホールディングス
117億9千万円の純利益。決算情報。
自治体の受託業務の過大請求は今期決算にとっては軽微なものなのが分かっていましたので、特に驚きはありませんが、社員の削減比率が一番高かったのと、自治体からの入札停止処分はかなり響きますので、2024年3月決算は一応黒字見込みですが際どい状況でしょう。又、2025年に関しては更に幸先暗く、お先真っ暗な状態ですね。
2024年の見通し
兎にも角にも2023年の決算は全て出揃った訳で、自治体の受託業務もコロナ関連は5月8日を以てほぼ終了しましたので、ここからが旅行業の正念場となります。
借りたお金を返せる当てが無さそうだと判断された時、どれだけの旅行会社が倒産するかは2024年末(2024年度末)の決算次第ですので、この1年は稼げることを示さなければならない重要な1年になる旅行会社が数多くあります。
大倒産時代到来の足音がヒタヒタと聞こえる中、先ずは6月と9月の中間決算がそれぞれ翌々月に出てきますので、それを注視していきたいと思います。


2023年3月



やっと出てきた。東武トップツアーズの決算が。
遅れに遅れてた東武トップツアーズの12月決算がやっとホームページに出ました。
取扱い1581億1200万円、当期純利益112億7100万円也。
会社規模が2倍の大手日本旅行と比較すると、売り上げが81%であるのに対して、利益は138%と、圧倒的優良企業になりました。
個人旅行向け店舗が東京と埼玉に僅かにあっただけなのがコロナ禍に幸いした上に、法人営業部門がそのまま自治体への営業に振り向けられたのが、個人一辺倒の大手各社との大きな差となりました。
決算発表が遅れに遅れたのは、恐らくパソナが枚方市などでやらかした件が影響して、受注自治体からの報告を求められての勤務実態の洗い出しでの修正などで時間が掛かったからでしょうか。
全国割なんかでも大手が補助対象外の不適切需給分を弁済したりと、何かと準備不足のドタバタ劇のツケが出てますし、悪意が無くても再チェックすれば不備は何かしら見つかるでしょうからね。
3月中旬時点の考察



2023年1月の各社売上が出たけど・・。
2019年比で売上高80%を超えたのは3社だけ・・。
そして、2022年12月決算が出た日本旅行は絶好調♪
取扱い1819億1400万円、81億1千万円もの純利益が出てますね。
もう1社、東武トップツアーズも12月決算なんで、実は両社が出揃ってから記事を書こうと思ってたんですが、未だ東武は発表無し。しかし1月も売上好調なんで経営自体には問題無さそうです。3月に入ってから何かしら修正が必要な事態が出たんでしょうかね。
今月で決算の企業はかなり多いんで、GW明けには各社決算数値が出てくる事でしょう。暫くはそれ待ちでしょうかね~。
2023年2月



ども、2ヶ月ぶりです。12月の各社売上が出ましたね。
2019年比で売り上げが100%を超えたのは2社だけでした。
4月から12月までの取扱合計額を見てみましょう。


黄色塗と青塗、赤塗が順位争いが混とんとしてきましたね。3月の決算を経て、業界順位がどうなるか目が離せません。
旅ねことしては、近ツーの学校関連で保護者や先生が嫌がる仕事を肩代わりするビジネスモデルが今後成功するか、この辺が気になるところではありますかね。
そう云えば、年末のボーナスは上記トップ10企業の半数以上が出たようですが、労働組合があるのかも分からない企業もあるんで、その辺はちゃんと出たんでしょうかね?
2022年12月
遂に注目のHISの2022年10月期決算が発表されましたね。
結果は95億4700万円の赤字です。
2021年10月期の500億円を超える赤字と比べればかなり改善した様に見えますが、赤字は赤字。そしてこれはハウステンボスの売却益によってもたらされた結果ですので、2023年10月期決算ではいよいよ黒字が必須となってくるでしょう。
純資産が566億3600万円残っているのは心強いですが、手元に残っているのは売れるかどうか分からないラグーナテンボスなど小粒なものしかありませんから、海外旅行やインバウンドが2023年も完全回復せずに低調な推移を見せれば赤字が2023年も続くことになり、非常にまずい状況になってくる可能性がありますね。
私は2023年はまだ旅行会社の倒産件数は爆発的に増えることは無いと見ていますが、2024年には相当数の旅行会社が大手~小規模事業者までまんべん無く破綻するんじゃないかと感じているのが正直なところです。
コロナ禍での融資の利払いや元本返済もそのあたりからは本格化しますが、コロナ禍前の業況になった場合でも、店舗や社員数を25%~35%くらい削減した企業は当然売上高もそれに応じて元の売上高までは戻る訳はありませんから、利益額も減少します。そうなると借りたお金を返せる金額を稼げなくなってしまうのは必然ですよね。
因みに、直近の黒字だった年では最大手JTBの2022年3月期の利益が284億6100万円(本社売却益が寄与)。近畿日本ツーリストの2019年3月期利益は12億7900万円。日本旅行は2019年12月期利益16億2400万円。
利益率が爆発的に上がればともかく普通に考えれば社員数の削減比率に合わせて利益も減少すると見て、後は借金(利子含む)の返済額が見えて来ればその企業の先行きが見えてくるのかなと思います。
JTBは黒字化さえ目途がつけば反転攻勢が見えてきましたので、広告宣伝費なども削らず踏ん張っていますが、それ以外の企業はやはりハワイなど海外旗艦支店の閉鎖等相当な血を流しているのが目に留まりますね。
2023年は黒字を継続できる体制を如何に見せられるかが企業存続の試金石になってくる重要な一年を迎えることになります。
企業ごとに経営環境は違ってきますが、親会社やグループ会社、メインバンクの支援なしには相当数の旅行会社が市場からの退場を余儀なくされることになりますので、各社がしのぎを削る2023年に備えるこの年末となりそうです。
2022年9月


2022年の1月~6月までの上位10社の売上高を見てみましょう。
私が各月の売上高を見て足していったんで、もし数値が間違っていればスミマセン。
まだ年半ばですが、コロナ禍前までの順位と大きく変動しているのは、8位まで落としたHIS、そして5位まで上がってきた東武トップツアーズです。
理由として考えられるのは、以下になります。
HIS
⓵海外がメインの業態で最もコロナの影響を受けている。
⓶カウンターで個人相手の業態のため、待ちの姿勢が基本で、自治体のコロナのサポートセンターなどの受託業務を取りに行くにも法人営業部門が脆弱で、殆ど受注出来ていない。
⓷元々JATA(日本旅行業協会)から脱退しており、コロナ禍で慌てて出戻ったものの業界団体から情報を得る態勢が出来ていなかった。同業他社とのお付き合いが無かったんで、当然急に戻ってこられても自分たちが苦しい中助けてくれるところは無いでしょうからね。
東武トップツアーズ
⓵個人旅行向けの店舗が東武沿線に僅かにあっただけで、元々団体営業が主体だったため、需要の無くなった法人営業部隊をすぐに企業から国や自治体へ振り向けられた。
⓶会社の売り上げに占める修学旅行の割合が、大手・準大手・中堅の旅行会社の中で最も大きいため、コロナ禍1年目こそ修学旅行も実施できず打撃を受けたものの、2年目以降は法人需要が戻らない中、修学旅行実施が再開されたため、①個人②法人団体③修学旅行④インバウンド⑤自治体受託業務とある中で、③⑤を柱をとする事が出来た。
※自衛隊のワクチン大規模接種事業で、東京の入札にはJTBや近畿日本ツーリスト、日本旅行といった大手しか声が掛かっておらず出遅れたものの、その受託事業を察知するや、次の大阪の入札には間に合わせて受注出来た事がその後の展開に大きく影響している様ですね。
「大手は政府与党から優遇されている」といった声が聞かれる中、常に需要を探し求めてアンテナを張っておけば挽回のチャンスを掴めるといういい例かと。
業界5位は東武トラベルとの合併時はおろか、東急グループからの身売り前、前身の東急観光時代にまで遡ります。
大手~中堅の旅行会社は、2年連続債務超過の中堅1社は分かりませんが、それを除けばおおよそ2023年末までは資金ショートの可能性は少ないので、暫くは今後の展望が開けているかどうかでその後の助け舟が出るかどうかが決まって来るでしょう。
え、助け舟が無ければどうなるって?借りたお金の利払い額と、2019年の各社の利益額を見て頂ければ想像はつくと思います。このコロナ禍で社員を2割~4割ほど削減している企業は、何か別の高収益事業を見出せなければ、当然2019年の利益額から同じ割合以上に利益が減ることは必然です。
さて、2022年も後半に入ってきましたが、この後旅行業界はどういった展開になっていくのか、予断を許しませんね。
2022年8月
HISのハウステンボス売却のニュースが出ていて、正式決定後に取り上げようかなと思ってましたが、先ずは現時点でのマスコミの推測価格で一度取り上げることにしました。
900億円程度の売却額と云われていますが、もしそうであったならHISも一息つけるんじゃないかなと思います。他の大手準大手とは比べ物にならないほど2019年比で売り上げが落ち込んだままで、相当キャッシュが失われている可能性がありましたので、これで手元資金を捻出出来れば当面の運転資金は確保できますからね。
只、ハウステンボスを売っちゃうと、後は小粒なラグーナテンボスくらいしか売れそうなものが無いので、後は無いのが実情です。本業の旅行業が来年どこまで復活できるかが焦点になってきますが、ここまで守勢に立たされてきたJTBは攻勢に出るでしょうし、コロナ関連の自治体受託事業の受注ではJTBとHISでは雲泥の差がありますので、今年は見た目の売り上げ回復度以上に利益で大きな差が出ることになるのはな違いありません。
この表から見ると分かりますが、売上高上位10社中断トツ1位の落ち込みぶりです。しかも、法人や自治体営業の組織が脆弱なため、利益率も間違いなく一番低いハズなんで相当厳しい状況に立たされているのは想像に難くありませんしね。
純粋に旅行業の売り上げが回復してきているのはJR東海ツアーズ、そして阪急交通社の2社でしょう。この2社も団体営業部門は殆ど無いに等しい企業ですが、2019年度比売り上げがここまで戻せているのはいい傾向だと思います。
海外旅行への道は見えてきたので、後は実際にどのタイミングで2019年比で80%以上に戻るかが焦点になりそうですが、大手・準大手は年内に破綻する可能性は無いと見て良さそうですね。
2022年7月
名鉄観光サービスの決算が6月下旬になって、ようやくしれっと出てきましたね。
営業利益は3億1700万円の赤字なんですが、何故か純利益は1億5千万円の黒字。相変わらず意味不明な会社です。結局、親会社の名古屋鉄道次第ってことでしょうか?社員の平均年齢45歳以上、売上高に比べて992名(2022年2月時点)と社員数が多すぎと、昔と比べても勢いを完全に失ってるんで、最近では全く話題に上らない様になりましたね。
2022年5月
阪急交通社グループ決算
2019年度決算発表リリース(阪急交通社グループ) (hankyu-travel.com)
57億4800万円の営業赤字としか出てません。阪急交通社グループは名鉄観光サービス同様、上場して無い上親会社の電鉄が隠れ蓑になっててよく分からないんですよね。まあ、HIS同様状況はかなり悪いってことぐらいでしょうか。只、阪急電鉄が親会社なんで、グループから売却されない限りは倒産の危険性は無いと思われます。
JTB決算
遅れていた発表が5月下旬、ようやく出てきましたが、284億6100万円の黒字でした。



他を圧倒する利益額を叩き出しましたね。もはや啞然としか言いようがありません・・。
2021年度の旅行業者取扱額も出ており、2019年度比で44%と、約半分まで売り上げを戻す結果となりました。
ひと言でいえば自治体のコロナ関連の仕事を相当受注しているってことです。そして、利益率は旅行よりも段違いに高いんで、この様な結果になった訳です。
まあ、特需なんで2022年いっぱいは続きますが、来年度以降は本来の旅行業で勝負しないといけないんで、借金を今のうちにいかにして返済できるかが生き残りのカギになります。
とは言え、先ずはJTBの底力を見せつけられた結果になったのは間違いありませんね。
尚、純資産は2021年度決算期より616億9400万円増えて、1092億2千万円となりました。只、営業損失は一気に95%も減ったとは云え、未だ赤字で48億8千万円の赤字なのが先行き不透明な点ですね。2022年度はまだコロナ特需が続くんで大丈夫ですが、2023年度は本業の旅行のみで勝負する事になるでしょうから、そのあたりが大手旅行会社の命運を分ける時期に来るんでしょう。
近畿日本ツーリスト決算
遂に2022年3月決算が出始めました!最大手JTBの発表が遅れましたが、近畿日本ツーリスト(KNT-CTホールディングス)の決算発表が出ましたので先ずはこちらから。
純利益57億7100万円の赤字です。当初は100億円を超える赤字を出すんじゃないかと思われていましたが、後半かなり挽回しましたね。只、グループと銀行から400億円の支援を受けていますので、純資産243億1500万円と、かなり目減りしています。



ん?昨日は確か300億円残ってるって見た気が・・。気のせいかな?
まあ、とにもかくにも2023年3月まではほぼ確実に持ちそうですし、何より40億円の黒字を見込んでいますから、先ずは当面経営に問題は無さそうですね。
ここで先行き対する旅ねこの見立てを。
今年度の黒字40億という強気な見立てですが、これは虚勢ではなく実際にそれくらいは確実に儲けが出ると踏んでいる可能性が高いですね。実は大手・準大手の旅行会社はコロナ接種の大規模会場の運営やコロナ相談センターの運営、そしてグリーン認証事業にGo Toイートなど、会議や大会運営のノウハウを活かしてかなり受注しています。
そして、これらの事業が本来の旅行業の倍以上の利益率を誇っているため、売り上げが大幅に落ち込んだままでも利益が倍増しているんです。
2022年いっぱいは、自治体を中心にかなりの事業の発注が見込まれますので、恐らく大会運営の実績やノウハウが殆ど無いHISと阪急交通社を除いたリアル旅行会社の大手・準大手は安定して利益を積み増していくと見込んでいます。
まあ、この辺はよ~分からんけど取り敢えずやってみるかの精神を持ってる一部の旅行会社だけの強みですね。ホントはJALやANAも搭乗券のチェックインシステムを流用するなどしてコロナの大規模接種会場運営は出来たはずなんですが、「俺たち航空会社は飛行機飛ばしてなんぼだからさ」って感じで、最初から取り組む気ゼロでしたからね。
根性論って訳では無いですけど、やったことの無い事に取り組む気のある企業だけが大幅黒字になる2022年になりそうな匂いがぷんぷんしてきてますね。
JTBの決算は私の見立てではほぼ確実に黒字で出てくると思っています。自治体には一番強い老舗企業ですから、入札無しの随意契約で受注している案件が相当ある様ですし、凄まじい利益率と利益額を叩き出して一気に黒字化するんだろうなと。
とは言え、JTBもKNT=CTホールディングスも前年の赤字幅が大きすぎて、昨年後半から今年にかけての一過性のコロナバブルだけでは借金を全額返済は出来ませんから、来年以降が勝負の年になるのは間違いないでしょう。
JTBの決算が出たら、またここに追記して行こうと思いますので、今暫くお待ち頂ければと思います、では(@^^)/
東武トップツアーズ2021年決算開示!
遅れに遅れていた東武トップツアーズの2021年12月の決算がようやく出ました!
HISが子会社の不正で決算開示が遅れましたが、それに伴って日本旅行や東武トップツアーズも遅れるのは予想されていましたが、日本旅行より遅れる事約1か月。どんだけ遅いねんって思ってましたが、結果は驚くべき好業績ですね\(◎o◎)/!
当期純利益 63 億 14百万円(前期は当期純損失 30 億 87 百万円)って、スゲー( ゚Д゚)
10倍の規模のJTBでさえ平成29年度3月期決算で52億3千万円の純利益ですから、ここ数年の旅行会社の中でも断トツの利益を叩き出しましたね。
この内容を見ると、やはり旅行以外の収益が寄与しているのが分かります。他の旅行会社との大きな違いは、元々海外売上比率が低かった点と個人向け店舗を殆ど持っていなかった点、そして法人営業に特化していたため、国や自治体に法人営業部隊をすぐさま振り向けたことが要因でしょう。
100億円以上の負債を抱えた大手は、今後借金の返済という重しを抱えて営業していく訳ですが、コロナ前の年間利益を各社見ても、恐らく借金の返済に数十年かかるだろうと思われる企業がかなりの数に上ります。その中で身軽な状態で未来への先行投資を行える事はかなりのアドバンテージになりそうです。業界の負け組かと思われていた東武トップツアーズですが、コロナ禍で一気に大逆転の嵐の目になる可能性があり、今後の動向に目が離せませんね♪
2022年2月
2021年12月決算がそろそろ発表される頃ですが、どうやら各社Go Toの不正確認に追われている様で決算数値の確定が少し遅れそうですね。
と、いう訳で12月決算をただ待っていても退屈なんで、大手・準大手・中堅各社の年末のボーナス状況から各社の経営状況を推測してみます。下記企業について、非公表以外の企業については私の方で何ヶ月或いは何万円まで把握していますが、そこは伏せさせて頂きますね。
企業名 | ボーナス | 備考 |
JTBグループ | 非公表 | こっそり出してたとの噂が・・。 |
近畿日本ツーリストグループ | 中四国のみ | 子会社は若干出てる様です |
日本旅行グループ | 非公表 | 実は出てます |
阪急交通社 | 出てます | 夏は見送りでしたね |
東武トップツアーズ | 出てます | |
名鉄観光サービス | 出てます | 夏は見送りでしたね |
読売旅行 | 出てます | 夏は見送りでしたね |
京王観光 | 出てます |
非公表は世間体を気にして支援の妨げにならない様に引き続き同情を引きたいってことかも知れませんね。
夏冬共に出たのは東武トップツアーズと京王観光のみ。この2社が経営的には安定していると見てよさそうです。まあ、それ以外の出た企業に関しては寸志みたいな金額のとこが大半ですから、出た内に入らないって言うのが実情ですけど。
コロナ禍に於いての優勝劣敗がはっきりと出ていますが、日本旅行は12月の年末決算を黒字決算で乗り切れるとの事ですし、東武トップツアーズは絶好調、そしてJTBは3月決算で黒字化するんじゃないかと私は見ています。
私の勤務地だけの業況ですが、京都府の事業は大手の或る1社が大半を入札無しに随意契約で受注してってますから、相当な利益が出ているようですので、それを考えれば逆転黒字決算もあり得るのかなと思ってます。
観光庁旅行業者取扱額データ12月発表済⇒https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/toriatsukai.html
対前々年比で50%を超えてきたのは、やはり国や自治体の事業を上手く取り込んだ企業が多いですね。
名鉄観光サービスが70%以上と目覚ましい回復ぶりを見せています。続くのは東武トップツアーズ。



なんか把握しているボーナス額が売上額の増加に見合って無い企業があるな?売り上げ上がっても旅行と公共事業で利益率が全然違うってことなのかな?
さて、年末決算の企業はGo Toの修正が少々入りそうですが今月中には発表があるでしょうし、私の見立てでは業績の良い順に、各OTA(OTAは楽天やリクルートライフスタイルなど本業で儲かってるんで問題無)>東武>日本旅行>JTBと見ています。そしてそれ以外の企業はどこも親会社頼みじゃ無いかなと思ってますんで、親会社が無い企業も含めコロナ禍が続くと今年の後半から来年にかけていよいよクライシスが始まる恐れも出てきます。
先ずは日本旅行と東武の決算が間もなく出てくるのを待ちたいと思いますが、どちらも黒字を確保しそうですしやはり3月決算の企業が気になるところではありますね。
2021年12月
HISの決算発表が12月28日にようやく出ました。500億5千万円の純損失でした。これは10月見込みからは若干改善していますが、やはり純資産が半減して500億円を割り込むことになりましたので、厳しい状況に変わりありませんね。
純資産がJTBとほぼ並びかけているんじゃないかと思われますので、今年初頭には余裕があったのが大手各社と差が無くなったと思えばいいでしょう。
日本旅行は年末差し迫った時点で黒字を確保して、ボーナス無しから一転ボーナス支給を決めましたので、大手・準大手はHISと近畿日本ツーリスト、阪急の3社を除いてようやく光が見え始めたんじゃないでしょうか。
只、これらの企業はどこもワクチンの大規模接種や広域接種会場運営、Go To Eat事業などを受注して利益を出していますので、中堅以下の旅行会社の様に旅行以外の事業にどうやって取り組めばいいか皆目見当が付かない大半の旅行会社とはもはや立ち位置が違ってきていますので、大半の旅行会社は経営危機が増す一方と云っていいでしょう。
年が明けて、1月~3月の平日の閑散期にGo Toトラベルが始まればまだいいのですが、それが無いと3月以降の救済措置が縮小していくにしたがって、倒産が増えていくことになりそうですが、果たして・・。
2021年10月
HISの2021年10月期の決算見込みが530億円の赤字と発表がありました。これは私が予想していたよりも悪く、純資産(984億円)の半分以上を食い尽くす状況になります。
大手・準大手がコロナワクチン事業や自治体の認証事業などを受注して赤字額を減らしたり黒字転換している中で、HISに関しては法人営業部門が脆弱な上、今まで同業他社との関りを断ち切ってきていたことがあだとなって、殆ど孤立している事が原因と見ています。
これからどのタイミングでどれくらい程度旅行需要が戻ってくるか分かりませんが、現状多くの旅行会社が2022年後半には資産が底をつく可能性があります。2021年決算が赤字の企業に関しては、赤字額と純資産の残額をよく把握しておく必要があるでしょう。
2021年10月時点大手・準大手旅行会社の最新経営状況と見通し


皆さんこんにちは、旅ねこです。
コロナの感染状況が急速に収束して、10月に入ってからは一気に旅行マインドが回復しつつありますね。
現時点で一度主な旅行会社の経営状況について現場で旅行業に携わる私なりの見解を整理してみようと思います。
各企業決算数値等
旅行会社 | 決算期 | 2019年度売上(億円) | 2019年度決算(億円) | 2020年度決算(億円) | 最新決算時純資産(億円) |
JTB | 3月 | 15,771 | 16 | -1,051 | 475 |
近畿日本ツ-リスト | 3月 | 4,592 | 12 | -284 | -96 ※1. |
日本旅行 | 12月 | 4,249 | 16 | -127 | 101 |
HIS | 10月 | 4,302 | 122 | -250 | 984 |
阪急交通社 | 3月 | 3,356 | -6,400万円 | -54 | 51 |
東武トップツアーズ | 12月 | 1,225 | 2 | -30 | 37 |
名鉄観光サービス | 3月 | 873 | 5,500万円 | -40 | ? |
農協観光 | 3月 | 579 | -16 | -51 | -29 ※2. |
※1. 400億円を近鉄及び主力銀行より調達し、債務超過は一旦解消。
※2. 農協グループの支援を受け、40億円を借入で資金調達し債務超過は一旦解消。
2019年度決算は全社赤字でしたので、いかにコロナの影響が大きかったかよく分かりますね。
では、上から順にいきましょう。☆☆☆=当面自力で生き抜ける。☆☆=1年半以上は持ちこたえられる。☆=グループの助力を得ており、1年は持ちこたえられる。★=グループ会社の意向次第。尚、数値的な見解は専門家の方が詳しく分析していますので、これは飽くまで私の個人的な見方になりますのでご了承下さい。
JTB ☆☆
好材料:国や自治体に食い込んでいるため、現在は自治体が行っているコロナワクチンの広域接種や飲食店のコロナ対策のチェックを行う認証業務などをかなり受注しており、赤字幅は縮小する見込み。純資産もまだあり、少なくとも1年半は持ちこたえられる体力はある。
不安材料:社員数を25%削減し、給与も大幅カットしたため、元の売り上げには戻せないことは確実。OTAとの戦いには遅れをとっている。海外に強く、海外旅行の解禁が遅れれば業績の回復も思う様に進まないでしょう。
近畿日本ツーリスト ☆
好材料:現在は自治体が行っているコロナワクチンの広域接種や飲食店のコロナ対策のチェックを行う認証業務などをそこそこ受注しており、赤字幅は縮小する見込み。
不安材料:4月から6月までの第一四半期だけで64億円の赤字で、調達資金の1/4を早くも食いつぶす結果に。社員数も30%以上減らしており、元の売り上げには戻せないことは確実。OTAとの戦いには土俵にすら乗れていないので、今後の成長が今のままでは見込めない。又、債務超過を解消したものの、借金は当然返さないといけない利子負担できるほど収益を出すには今の社員数と利益率では難しそう。
日本旅行 ☆☆☆
好材料:現在は自治体が行っているコロナワクチンの広域接種や飲食店のコロナ対策のチェックを行う認証業務などをそこそこ受注しており、赤字幅は縮小する見込み。 純資産もまだあり、2021年6月期の半期決算では赤字だったものの赤字額はマイナス6億円とかなり赤字は縮小している。
不安材料:人員3割、店舗数も大幅削減しており、売り上げは2019年度に戻ることは無い。ネットには弱く、提携相手のじゃらんも海外OTAやヤフートラベル、楽天トラベルに対し劣勢なので伸びしろが見えない。
HIS ☆
好材料:2019年にユニゾホテルにTOBを仕掛けて失敗したことで値が吊り上がった株を逆に高値で売却できたことなどで資産が膨らんでいたことが結果奏功した。純資産がまだかなりあるのが救い。
不安材料:海外旅行が主力事業のため、まだ当分業況の回復が見込めない。又、大手他社と違い営業部門が脆弱で、国や自治体の業務を殆ど受注できていないため、第3四半期(2021年7月時点)でも-332億円の赤字と、他社と比べても赤字幅が突出して大きい。これがまだ当分続くと考えるとJTBの2倍あった純資産も2021年10月決算期ではほぼ同等額まで目減りする可能性がある。
阪急交通社 ☆
好材料:阪急阪神ホールディングスグループで支えてもらっているため、現状大きなリストラ等聞こえてはきていない。
不安材料:新聞での募集型企画旅行が主力事業のため、自治体業務などが大手の中ではHIS同様殆ど受注できていないため、業況の落ち込みは最も激しい。2019年度決算から赤字と、コロナに関わらず業況が厳しい事がうかがえる。元々海外比率が高い。
東武トップツアーズ ☆☆☆
好材料:団体旅行が主力の業態のため、2021年度も新入社員募集を行った数少ない旅行会社で、人員削減による今後の売り上げの落ち込みは無い。主力事業の修学旅行は個人旅行ほどの落ち込みでは無いため、秋に向けて業績の上積みが期待される。国や自治体の委託業務も、団体営業部門が企業から国・自治体へターゲット変更して堅調に受注しているため、好業績のOTAに次いで業績好調で、既に6月の半期決算で黒字転換を果たしている。
不安材料:海外とネット関連の個人旅行部門が弱く、今回のコロナ禍ではそれが怪我の功名となったが、いずれ市況が回復するので、それまでにネット販売網を構築できるかが長期的視点で業績を伸ばしていけるかの分かれ目になる。
名鉄観光サービス ☆又は★
名古屋鉄道の子会社で、総資産しか見当たらず、純資産が見当たらなかったため、業績が完全に把握できず評価が出来ませんでした。
農協観光★
好材料:農協グループに属している事くらいですかね~。
不安材料:3年連続赤字で、コロナ禍で遂に債務超過になって借り入れで一旦は債務超過を解消しましたが、先行きは不安です。農協グループの支援次第でしょう。
その他(JALパック・ANAX、JR東海ツアーズ)?
いずれも親会社次第です。
今後の見通し
市況の回復時期によってどの企業が生き残るか、又再度成長軌道に乗せられるかが変わってきます。第6波が12月に来て緊急事態宣言が再発令されれば個人旅行に強い大手は大打撃ですし、これまでの旅行自粛ムードが3月まで続くといよいよ大手の倒産が現実味を帯びてきます。
海外旅行の解禁が後1年続けば、海外売上比率が高い企業はいよいよしんどくなりますね。
記事を読んでくださった方には、これを参考に各社の旅行券やポイントを持っている場合、来年3月以降に持ち越すかの判断材料にして頂ければと思います♫
今は丁度Yahoo!トラベルでお得なキャンペーン&セールがスタートしてます! ▼誰でも最大10%お得になるキャンペーンポイントのいまスグ利用で最大5%OFFで宿泊予約が可能!開催期間:2022年8月31日(水)正午~開始予定。
参考データ
2021年8月6日追記:近畿日本ツーリストの第1四半期決算から
KNT-CTホールディングスが2021年8月5日発表した2022年3月期第1四半期決算(2021年4~6月)は、純損益が64億4200万円の赤字 。 6月30日付で実施した400億円の第三者割当増資により404億7200万円(64.4%)増加し、1032億9000万円。負債は793億6300万円で、純資産は239億2600万円 が発表されました。
このままのペースで行くと後1年この状況が続けば、チーンですね。まあ、増資のお陰で1年は問題なく経営は継続できるので当面の心配は無いと思っていいでしょう。
ワクチンの大規模接種事業が5月以降開始されているのと、延期されていた修学旅行が9月頃から開始されれば赤字額は圧縮されていきますから、1年後に黒字基調に戻れば大丈夫な訳ですが、旅行需要の戻りがあったとしても、既に希望退職などでかなりの人減らしをしてしまっていますから、今までと同規模の収益は得られない訳で、借金を返すのに四苦八苦するのは間違いないと思われます。つまり、僅かな黒字基調では大きすぎる有利子負債の返済に窮することになるため、先行きはかなり暗いと言わざるを得ませんね。
希望の光としては、主力事業が海外旅行でほぼ動きが止まって、大規模接種事業も殆ど受注できていない上、修学旅行を殆ど取れていない同業他社の動向に左右されることになりそうです。需要回復期にどこかが市場から消えていれば、その残されたパイを食う事で何とかなる可能性はありますが、こればかりは完璧な予測は難しいところです。
今後も随時、各旅行会社のニュースを追いながら状況をウォッチしていきたいと思います。
ども、旅ねこです♪
※2021年6月追記
コロナワクチンの接種が本格化してきて、少し先が見え始めましたが、それは同時にじゃぶじゃぶの融資状況も終わりが近づいてきていることに他なりません。
現時点での各旅行会社を取り巻く状況にも変化が出てきていますので、本日はそれについてお話しようと思います。
先ず、近畿日本ツーリストは近鉄グループと主要取引銀行から追加融資を受けて債務超過を解消出来る運びとなりました。これにより、少なくとも今年いっぱいは経営危機は遠ざかったと云えるでしょう。
そして、ワクチンの大規模接種会場運営や飲食店の安全認証業務などの国や自治体の事業を受注している大手・準大手は今年の収益を確保しつつありますが、大手や準大手でもこういった事業を殆ど受注出来ていない企業が約半数存在します。
その理由としては、法人営業分野を主たる業務としているか否かという事に尽きます。そして、これが大きな運命の分かれ目になっているのが現状ですね。
正直、今東京と大阪で開設されている大規模接種事業なんかは、JALやANAの航空券販売システムや搭乗券発券、空港でのチェックインからセキュリティチェックまでのシステムとノウハウがあれば、それを改修・応用するだけの事で対応できる代物なんです。ところが、両社の子会社の旅行会社は、規模こそ日本でTOP10に入っているものの、今までMICE(Meeting・Incentive Conference・Exhibitionの総称)と云われる学会や展示会・大会運営には全く手を出してこなかった歴史があります。
こういった業務は実に面倒くさい仕事で、手軽に儲かる仕組み化されたルーティーン的な仕事とは一線を画しています。つまり、手間が掛かって面倒くさいことをやらなくても、親会社の座席を他社より安く卸して貰えて、それを他の旅行会社に宿とセットにして卸販売すればそれだけで儲かってるのに、何でそんなややこしいことに首を突っ込む必要があるんだっていうのが本音です。これは航空系2社だけでは無く、HISや阪急交通社など個人を相手に儲かるシステムを構築してきた大手も同様です。
旧大手3社(JTB・近畿日本ツーリスト・日本旅行)以外では、たまたま法人営業を主体にしてきた1社は、逆にこの状況下でそれらを手掛けてきた強みを活かして次々とこういった事業を受注して、今やこれら3社を尻目に今年の赤字を解消できる可能性まで出てきていますが、これはかなり特異な例ではあります。
既に大半の旅行会社が今年も赤字になるのは避けられない状況となりつつあるため、後はワクチン接種後の年末以降の需要回復期にその流れをつかんで黒字化できる見込みのある企業は融資を受けられるでしょうが、そうでなければ今年限りで融資打ち切り、年末から来年にかけて倒産、といった流れが加速するものと思われます。
既に日通旅行が市場から退場しましたが、同規模以上の企業がこの1年~1年半の内には退場するのではないかと私は考えています。
明るい未来を示し続けられる限り、お金を借り続けられれば企業は存続しますので、どこが倒産するとは断定することは不可能ですが、考え方の基本としては以下の点を考慮すると多少の指標にはなるかと思います。
⓵競合の退場が一旦遠のいた事で、苦しくなるのは支援してくれる親会社や有力なグループ会社を持っていない企業。まあ、親会社の経営が安定していても身売りされる場合もありますが。
⓶需要回復時に速やかにその流れに乗れなさそうな企業。旅行需要自体はどこかで一気に戻ると思いますが、問題は海外旅行が一気に戻るか、徐々に戻るかが焦点になりそうな気がしています。海外渡航にワクチンパスポートや帰国後隔離措置が暫く残ったり、手続き自体に煩雑な手間がかかったり費用が発生したり、アジア人ヘイトの問題など、不安要素がかなりありますので一体どうなる事やら・・。
今後、雇用関連の助成金などが通常に戻ってから半年後には、今まで例年以上に少なかった倒産件数が一気に増えてくることになるでしょうし、消費者サイドとしては当分観光関連企業の経営状況を注視していくことが必要でしょう。
Go To トラベルもあり旅行会社へ視線が集中している中、コロナ感染者は増加の一途を辿っており自粛要請が出ようものなら観光産業に最期の決定打を浴びせかねない状況です。そんな中で大切なお金を預けて大丈夫なの?って声に応えて、旅行会社売上上位12社をピックアップして旅行会社社員の視線から経営の安全性について見ていこうと思います。
尚、私の目線で検証していますが、これが絶対というものではありませんので、一つの参考として頂ければと思います。倒産はある日突然やって来ますからね。
※2021年4月追記:コロナ禍が既に1年以上に渡って続いていますが、一つだけ旅行業界に居る私の視点から注目すべき点を挙げておきたいと思います。これをどう判断するかは個々人に委ねますが、ニュース等でも幾つか出てきた情報を再度確認して頂くとある程度ヤバそうな会社は見えてくると思います。
未だ無責任に危ない会社を勧める公的機関があるのには驚きを禁じえませんが、所詮自分のお金では無い上、自分たちがお金を預かりたくないという無責任さから検証無く放置されている現状には危機感を頂いたが故のヒントがここに隠されていると思って頂ければ。
「債務超過」とは、債務者の負債総額が資産総額を上回っている状態。 つまり、全資産を売却しても負債を返済出来ない状態を云います。要は破産状態ですね。
企業はこうなる前に何らかの手を打たなければなりませんが、極端な話をすればこの様な状態になっても経営的に余裕のある親会社や金融機関などにお金を借り続けられれば企業は存続します。尤も、そんな企業にいつまでも融資をしてくれるお人好しな金融機関があればの話ですが。
但し、金融機関で無くてもお金を貸してくれるお人好しは実は存在しているんです。私の勤める会社も手掛けていますが、修学旅行なんかの旅行の積立金です。
これがいわばキャッシュフロー(預かっているお金)として、債務超過状態でもお金が回る重要なファクターなんですね。
と、いう事は、何の検証も行っていない学校から勧められて修学旅行の積み立てを行っている生徒の保護者がそれに気づいて、債務超過に陥った旅行会社の積み立てを一斉に解約に走った時には何が起こるかってことなんです。
国や自治体など公的機関は債務超過の企業の入札は停止されますので問題は起こりにくいですが、この旅行積立は完全に野放しです。自分の預けたお金は自己責任で、というのが当然と云えば当然ですが、それを安易に保護者へ勧めた学校が責任を負うとは到底思えないのが現状です。
今はまだコロナに対応して補助や貸し付けがありますが、そろそろ一年後を見据えて状況をよく見極めた上で自己防衛をすべき時期に来ているのではないでしょうか?
先に結論
はっきり言います、コロナ感染が拡大して次に緊急事態宣言が出されて自粛要請が出れば、1万社あると言われている旅行会社全て危うい、というのがはっきりしています。
キャッシュフローと資産の差はあれど、次に休業が長引けばもはやそんな差異は微細な違いでしかありません。しかし全ての旅行会社が債務超過に陥ったとしても、生き残る可能性には差が出てきますので、それについてお話していきます。
上位12社比較表
社名 | 強み | 弱点 |
JTB | 個人・団体・MICE(学会)全てに強く、国や自治体にもがっちり食い込み各地域の観光協会に出向者がいるため情報を独占して利益率の高い仕事を多く持っている。電通の旅行会社版。資産を豊富に持っているのが強みですが、上場していないため現金化できる資産がどの位の割合あるのかは完全には把握出来ない。 | エクスペディアに抜かれて世界一から転落後急速に順位を落としている。OTAにweb戦略で全く敵わない。現在はBooking.comが世界最大。海外宿泊在庫は一部エクスペディアに頼る。 |
KNT-CTホールディングス | JTBの小型版。近鉄グループで他に、都ホテルや近鉄、パルケエスパーニャ。観光協会にも入り込んでいる。 | 経営状態が思わしくなく、日本旅行との合併が破談になった過去あり。
海外には強くない。 |
HIS | 海外とインバウンドの個人旅行売上が高い | 国内や団体、自治体への浸透が全く無い。労働組合設立の動きが潰されるなど強権的で離職率が高い。国内旅行には弱い。 |
楽天 | 楽天トラベルは日立造船の子会社の一部門を当時楽天が100億円を大きく超える額で買収し、話題に。今は楽天本体が吸収する形になり、楽天市場と一体化したため、その資金力で驚くほど安い商品を提供。 | 旅行単体では利益が出ているとは思えないが、実態は不明。海外OTAには太刀打ち出来ていない。 |
日本旅行 | JR西日本の子会社。JR西日本利用時のメリットあり。ヴィアインとグランヴィアなどのJR西日本系ホテルにも強み。観光協会にも入り込んでいる。 | 経営が振るわずJR西日本の子会社になった経緯があり、パッケージ利用の個人旅行者主体で時代の波に乗り遅れる。JR西日本社員やJAF会員向けのなどの会員割引が多いため、パンフレットは高めの価格設定で一般顧客に対しては魅力が無い。海外に弱い。 |
阪急交通社 | 募集型旅行の雄。格安路線が主力で海外に強い。 | 個人主体のため団体が少なく自治体などへも入り込めていないため、コロナ渦では最も苦戦している。 |
JALパック http://jalpak.jp/outline/index.html | JALの子会社のため、JAL路線では圧倒的強み。 | JAL利用以外の旅行が殆どない。 |
ANAセールス http://www.anas.co.jp/ | ANA子会社のため、ANA路線では圧倒的な強み。 | ANA利用以外の旅行が殆どない。 |
じゃらん(リクルートライフスタイル) | じゃらんの情報網や提携施設が強みで、日本旅行との提携によってJR利用のダイナミックパッケージも持っている。 | 楽天の様に全てを自社グループで賄える業態では無いため、グループの相乗効果が狙えない。 |
東武トップツアーズ | 修学旅行など団体特化型。東武鉄道グループだが、トップツアー(旧東急観光)と東武トラベルが合併(規模は2:1)して出来ているため、東武系列ホテルより東急系列ホテルとの結びつきが強い。 | 東武トラベルが一度破綻しており、2度目の破綻を回避すべく救済合併したため、利益率の低い個人向け駅内店舗を引き継いでしまって収益性が悪化している。海外に弱い。親会社の東武鉄道が鉄道としてはそれほど規模が大きくないため、バックとしてはやや不安。 |
JR東海ツアーズ | JR東海とJTBが7:3で出資して設立された旅行会社。ぷらっとこだま以外にお得な商品は見当たらない。 | JR東海絡み以外何も強みがない。 |
名鉄観光サービス | 名古屋鉄道の子会社で、老人会に強い。 | 親会社の名古屋鉄道の規模は鉄道としてはかなり小さく支援は限定的。愛知県から出ると知名度が低すぎる。上位社に対しては、老人会に強い以外全く秀でたところが無い。 |
系列とグループ
売上上位の旅行会社の大半が運輸系の企業となっているのが旅行会社の特徴です。
JR系 | 日本旅行・JR東海ツアーズ |
私鉄系 | KNT-CTホールディングス・阪急交通社・東武トップツアーズ・名鉄観光サービス |
航空会社系 | JALパック・ANAセールス |
独立系 | JTB(JR東日本が一部株を持っていますが)・HIS |
小売り・情報系 | 楽天・じゃらん(リクルート) |
各社ごとのまとめ
各社の特徴はご理解頂けたと思いますが、開示されているIR情報などの分析はここでは敢えて行いません。というか、私は株もやらないのでその辺詳しくないもんで。
旅行者の皆さんにとって気になる点から言いますと、規模が大きいから安心かというと今回ばかりはそうとは言えません。
何故なら、インハウスエージェントと云われる、グループ会社の出張手配などを行うために設立された規模が小さい会社は、親会社によって救済される可能性が高いためです。例えば、菱和ダイヤモンド航空サービスという旅行会社がありますが、ここなんかは社員数100名にも満たない企業ですが三菱系列企業の出張業務などを請け負っており、郵船トラベルと三菱UFJ銀行が株主です。この状況でも来年度の新入社員も採用するようですし、こういった小中規模事業者の方が親会社が救済する場合も負担が少なく、状況が今より悪化してそれが継続した場合生き残る可能性は高いと私は思っています。
助けてくれる親会社が無いという事は、これまで安泰と思われていたJTBでさえ倒産する可能性が出てきているという事です。
尤も、キャッシュフローの観点から言うと、銀行借り入れは勿論ですが、JTB、KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト)、日本旅行、東武トップツアーズ、名鉄観光サービスの5社は旅行積立による預かり金がかなり多くありますのでキャッシュフローはすぐには枯渇することはありません。しかし、これも一斉に顧客が解約に走れば逆に取立て騒ぎの様な事になって一気に経営は悪化しますので絶対的なものとは言えません。只、その中でもGo To トラベルの事務局事業を請け負っている4社に関しては倒産の危機は少ないと私は見ています。その理由は、この事務局事業を請け負うことによって人件費を事務局経費から出してもらえるからです。つまり、この4社は現在殆ど動いていない法人団体部門の営業部隊をこちらに拠出する事で人件費が自社ではなくGo To 事務局から出して貰える訳です。そうなると、法人団体の営業部門を抱えている他社より人件費負担が少なくて済むというのが理由ですね。
旅行業を本体に取り込んでいるヤフーと楽天、場所貸し的事業のじゃらん(リクルートライフスタイル)の3社は旅行で食ってるわけでは無いため経営的に問題ないとして、詰まるところ旅行会社に関しては親会社やグループ会社に余裕があるかどうかが今回は一番大きな要因になると言えるでしょう。
中途半端な規模や安さだけでは暴風雨の中淘汰は避けられませんので、他では出来ない特殊性や専門性のある仕事をしていれば救いの手が差し伸べられる可能性もありますし、生き残る一つの鍵になるでしょう。私も日々の仕事にベストを尽くすつもりですが、仮に今いる会社に何が起こったとしてもどんな仕事でもやって生き抜こうと思っております(^^♪
勤め先、あると思うな、いつまでも♪
コメント
コメント一覧 (6件)
業界研究をしており、たどりつきました。
各社の分析が大変参考になりました。ありがとうございます。
お役に立てれば幸いです。製造業や飲食業と違って、旅行業は中小企業が独自性を持つのが難しいため起業は簡単ではありませんが、秘境専門の旅行会社や仏教や特定宗教のルーツを訪ねるツアーなどを専門に扱っている会社もありますので、何か強みを持った会社を目指されると良いのではないかと思います。
旅行関係の業務に携わるシャンパンゴールドと申します。
非常に興味深く読ませていただきました。
いわゆる大手(じっと立ってるバカ等)は、コロナバブル。Jではない大手の傘の下でぼちぼち働いているものですが、先日、某M鉄さんと話す機会があり、私が「旅行そのものは、なにひとつ良くなってない」と話すと、M鉄さん「儲かってるんだよね」と。
まさに、この記事にある通りで、自治体の子会社になってしまっているということです。
コロナバブルですよ。決して、旅行で儲かっている訳ではないですが。
ただ、バブルはいずれ弾けるもの。
補助金ありきで考えていては、いずれオワコン。
辛坊治郎氏が「旅行会社(多分J社)がピークの売上を誇っている時、結構、高飛車でしたよ。(笑)やっぱり、因果は巡るっていうこともありますんで、あんまり人間偉そうにしてちゃいけないなって思います」と。
まさに、大手といわれる某じっと立ってるBと接して、業界最大手だからと上から目線で物言いされたこと、思い出します。勿論、すべてではないですが。
最後は「人」なのかな、と思ったりします。
これからも、業界考察楽しみにしております。
シャンパンゴールドさん、初めまして。
仰る通り、来年以降は自治体案件は急速にしぼんじゃいますから、今のうちに本業のお客さんをケアしておかないと大変なことになりますね。海外がまだ来年は一気に戻らないんで、海外主体のところは苦しい状況が続きそうですが、やはり公の仕事は大切だなと感じた今回のコロナ禍でもありました。個人・法人偏った一本足打法のところはどこも倒産寸前の憂き目にあってるのを見てますんで、アンテナは高く広角に張っておくのが重要ですね。そして、云われるように最後は「人」ですね、ホント。私の会社も人をお願いする際にどこに声を掛けるかと云えば、最大手さん一辺倒でお願いしても部屋やバス、席を出してくれないところより、やっぱり常日頃お付き合いさせて頂いて助けて頂いてるところの方になりますしね。
まあ、何とか今年を乗り切って楽しいお仕事が戻ってくることを信じて頑張りましょう♪
トラベルスタンダードジャパンで9月に海外旅行考えてますが、決算見ると2020/12 -420.000千円 2021/12 -40.000千円と赤字が続いており、
どうしようか悩んでます。
何か情報ご存知でしょうか?
さむさん、初めまして。
お尋ねのトラベルスタンダードジャパンについてですが、残念ながら社名を聞いた覚えがあるくらいでよく存じ上げない企業なんです。
社名を聞いて覚えがあったのが不思議だったんでググってみましたが、こちらの記事で社名が出てたので知ってたくらいでしょうか。https://www.tjnet.co.jp/2022/02/14/%e6%97%85%e5%b7%a5%e6%88%bf%e3%82%82goto%e4%b8%8d%e6%ad%a3%e5%8f%97%e7%b5%a6%e7%96%91%e3%81%84%e3%80%806%e5%84%84%e5%86%86%e8%a6%8f%e6%a8%a1%e3%81%ae%e8%a6%8b%e9%80%9a%e3%81%97%e3%80%80jhat%e9%96%a2/
大手や準大手あたりは経営状況が分かる指標やニュース、実際に同業他社との関りの中である程度分かるんですが、こちらの企業に関しては申し訳ありませんが知ってることが殆ど無いんです。
正直、今は大手から中小までかなりの旅行会社が厳しい経営状況になっているのは間違いありませんので、お金を借りられる企業が生き残るってことくらいしか確実な事は言えない状況です。
赤字であってもそれまでに蓄えた現預金や不動産があって無借金、別の業界からこの旅行業へ進出していて本業が好調な企業だったりした場合も問題無いんで、一概には言えませんが、企業としての将来性が信用力になるので、安心を求めるのであれば大手か準大手の黒字決算企業を選ばれた方がより安心ではありますが・・。
あまり良いアドバイスが出来ませんで申し訳ありません。