皆さんこんにちは、旅ねこです。
今回は残念な出来事を題材にした記事という事になりますが、旅行業界で実際に自治体の受託事業を受注している旅行会社に勤めているワタクシ旅ねこが、この件について分析しつつ私見を述べさせて頂こうと思います。
2023年7月29日追記
東大阪市の受託業務は当たり前ですが契約更新はされませんでした。今後はJTBが受注することになり、JTBの独り勝ちになりそうですね。
2023年7月22日追記
6月18日に更に静岡支店でも逮捕者が出ましたね💦
もはや会社の体質だったと云われても言い逃れが出来ない事態になってきました。
私がお邪魔している学校(私立・公立共)の修学旅行の説明会にも呼ばれてませんでしたし、来年以降の売り上げは激減必至でしょう。
公立の学年主体で決める学校はまだ声が掛かってるとこもありましたが、まあ公立の中高の管理職以外の先生はこういった世間の事にはホントに驚くほど疎いですから、管理職や事務室が主体になっているかどうかで対応は違っているようですが・・。
自治体は当然一番厳しく、他の自治体での入札停止処分には敏感ですし、一般企業も企業イメージの問題から避けて行くことになりそうですので、今年はまだ何とかなるでしょうが来年以降は売りが下は激減必至で、いよいよ経営に大きなダメージが現れそうですね。
この事で競合他社で有利に働くのは残念ながら赤字に苦しむHISや農協観光では無く、JTBと日本旅行、東武トップツアーズ、名鉄観光サービスの4社です。これらは修学旅行とオリンピック関連やその他国際イベントで多く競合する企業群ですので、業績に若干の影響はあると思われます。
さて、更に問題が噴出するのか、これで騒ぎはほぼ収束していくのか、もうしばらくは様子を見る必要がありそうです。
2023年6月17日追記
遂に逮捕という結果になりましたね💧
資料の改ざんも行っていたとの報道があったので、この結果になったのでしょう・・。
雇用調整助成金を貰いながら、普通に業務やってるよって声高に言ってる中小旅行会社社長も複数いたって話も地方から聞いていますし、企業の大小不正の種類問わず氷山の一角なのかも知れませんね。真面目にやってて損したわってことにならない様に、国も自治体もチェック機能を働かせてほしいもんです(一一”)
近畿日本ツーリストの不祥事概要
同業として残念なことですが、以下の様な事案が発生しました💦
近畿日本ツーリスト西日本支社関西法人 MICE 支店による「東大阪市新型コロナウイルスワクチン接種に係るコールセンター業務」での過大請求事案が4月に発覚しました。
これにより他の事業所や自治体でも同様の事が起こっていないかを緊急点検した結果、中間報告(5月2日時点)で最大16億円の過大請求の疑義があるとの発表。
コールセンター業務で東大阪市へ請求していた人数より少ない人数しか配置せず、その分を儲けとしてしたってのが内部告発で発覚して、そこから他の自治体・事業所の過大請求が次々発覚していったって流れですね💦
何故こんな過大請求が起こったのか?
近畿日本ツーリスト側理由としては以下の説明がありました。
契約数に沿った人数や個数で手配すべきところ、運営ができていれば必ずしも契約数と一致したものでなければ問われないといった誤った認識をするなど契約についての法律的知識が乏しいことや、営業目標達成を達成したいとの思いが強く働いていた。
契約内容が詳しく分かりませんが、コールセンター業務の契約締結で何人揃えますっていうのは恐らく契約としてあったと思われます。単にコールセンターを運営しますだけでの契約なら、こういった問題は起こりませんからね。
東大阪市での件はもはやいい訳出来ないレベルなんで、今更ここで説明する必要は無いんですけど、東大阪ほど額が多くない他の自治体に関しては単に派遣人数をきちんと把握できていなかったため起こった可能性が高い様に思われます。
これはコロナ患者が爆発的に発生していた時期なんかは毎日深夜までコールセンター業務が終わらなくてパンク状態だったから起こった可能性が高いんだろうなってのが推測されます。
他の旅行会社もやってる可能性は?
今のところ他の旅行会社でこういった事例は発覚していませんが、当然あってもおかしくは無いんですけど、経営状況から見ると、コロナ禍で債務超過に一時期でも陥った大手~中堅旅行会社としては近畿日本ツーリストと農協観光であったことから、かなり厳しい経営状況だったのかなと推察されます。
特に近畿日本ツーリストは、コロナ禍前から業界内では買収や合併などの噂が何度か出ていた企業で、経営状況が思わしくなかった可能性があるんですよね。
実際、私のブログのこちらの記事の検索流入ワードでコロナ禍前から3番目に多いワードが、『近畿日本ツーリスト潰れる』なんですよね~なぜか・・。記事では特定企業を名指ししてる訳でも無いのにですよ。
JTBは正直こういったコンプライアンスには厳しい企業ですし、電鉄系は一部の隠ぺい体質の企業を除けば親会社がコンプライアンスを重視しますんで、そうそう無茶苦茶な事はしないんじゃないかとは思ってますが・・。
まあそんな訳で、請求間違いは恐らく各社感染爆発期には起こってるんだと思いますが、故意に過大請求してる案件は営業担当者個人が行っていれば分かりませんが、少なくとも会社ぐるみでやってるとこは無いんじゃないか、というのが私の見立てです。
自治体案件を多く受注している旅行会社は他に数社ありますが、そこについては情報が殆ど無いため言及は差し控えます。
決算に見る利益率から導き出される旅行業界の闇
旅行業界が自治体の受託事業でぼろ儲けしてるんだろってネットでも結構出てるんで、上場企業を中心に2022年12月決算と一部3月決算が出た企業の売り上げと利益、そして利益率を見てみましょう。
企業名 | 売上(億円) | 純利益(億円) | 利益率 |
福田組 | 1543 | 36 | 23% |
山崎製パン | 10770 | 123 | 11% |
サッポロホールディングス | 4784 | 55 | 11% |
ジーエヌアイグループ(製薬) | 174 | 3 | 21% |
日本旅行 | 1819 | 81 | 4.4% |
東武トップツアーズ | 1581 | 105 | 6.6% |
近畿日本ツーリスト ※3月決算未発表のため第34半期分 | 1884 | 90 | 4.7% |
近畿日本ツーリスト(2019年度) | 3853 | -74 |
自治体の受託業務を請け負って尚この程度の利益率で、談合上等の業界やコロナ禍で儲かった業界なんかと比較したらたかが知れている儲けなんですが、それでも旅行業界としてはかなり儲かって助かっています。これ無きゃ赤字なんですからね。
とは言え、これも5月8日でほぼ終わりですから、借りたお金を返さなきゃって焦った末の行動だったのかな、とは思わないでも無いですけど・・。
JRと航空2社の3月決算が早くも本日発表されてましたんで、載せときますね。
企業名 | 売上(億円) | 利益(億円) | 利益率 |
ANAHD | 17074 | 894 | 5.2% |
JAL | 13755 | 344 | 2.5% |
JA東日本 | 24055 | 992 | 4.1% |
JR西日本 | 13955 | 885 | 6.3% |
JR東海 | 14002 | 2194 | 15.6% |
政治と強く結びついてる業種や企業、規制業種は突出して儲かってるのが分かって、ちょっと凹んでるんですけど、まあ好きで就いた旅行業ですからね(;^ω^)
間もなくコロナ禍の自治体特需も終わりを迎えることになりますが、追い込まれた一部の各旅行会社がやらかした過大請求(旅ねこ的には架空請求じゃないのかな?って思ってますけど)が、ホントにこの1社だけであってくれることを祈っていますが、いよいよ来年は正念場を迎えることになりそうですね。
不祥事を起こした企業が赤字に陥った場合、どこまで銀行やグループ企業を支えてくれるかは微妙なところでしょうし、各社不正の無い様、身を引き締めて業務に勤しんで行くべきですね。
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